地銀も「金利のある世界」へ…普通預金で20倍に引き上げ、利上げ局面知らない行員には勉強会

AI要約

日本銀行によるマイナス金利政策の解除に伴い、長期金利が上昇している。これにより、千葉県内の地銀3行も金利政策に対応し始めており、貸し出しの競争が激化している。

金利上昇は銀行の収益にプラスに働くため、各行は収益の拡大を見込んでいるが、貸出金利の引き上げは融資先の経営を圧迫する可能性があるため、悩みも抱えている。

各地銀は金利上昇に備えて、顧客への説明や金利の仕組みに関する教育を徹底し、貸出金利の見直しに向けて準備を進めている。

 日本銀行によるマイナス金利政策の解除に伴って長期金利が上昇し、千葉県内の地銀3行も「金利のある世界」への対応に動き始めた。金利上昇は銀行の収益にプラスに働くため、政策変更を歓迎し、貸し出しを増やすための預金の獲得競争が激化している。ただ、長年の低金利下で多くの行員は金利上昇を経験していないうえ、貸出金利を引き上げれば融資先の経営を圧迫することは避けられず、各行は悩みも抱える。(平田健人)

 「収益的に見れば、利ざやの拡大でプラスだ」

 千葉興業銀行の梅田仁司頭取は5月の決算記者会見で、日銀の政策変更を評価した。銀行は集めた預金に金利を上乗せして貸し出すことで得られる「利ざや」で稼いでおり、金利上昇は業績拡大の好機になるからだ。

 日銀が3月にマイナス金利政策の解除を決め、各行による預金獲得は熱を帯びている。決定から2日後の3月21日、3行はそれぞれ貸し出しの原資となる普通預金の金利を、4月から従来の20倍の0・02%に引き上げると発表した。

 千葉興銀は5月27日から9月末まで、新たな定期預金(預入額50万円以上、預入期間1年)に0・025%を店頭表示金利に上乗せする。50万円の預入金を1口とした抽選権も付与し、最大5万円が当たるキャンペーンも展開する。

 今後は貸出金利の引き上げが焦点となる。

 千葉銀行の米本努頭取は「借り入れ依存が高い顧客は注意が必要。中長期的に金利上昇が続く中では、きめ細かい顧客のフォローが重要だ」と強調する。貸出金利の見直しに向け、顧客に説明する際の会話例や金利の仕組みに関する動画を作り、行員向けの研修を進めていると明かした。京葉銀行と千葉興銀も行内で金利に関する勉強会を重ねる。

 背景にはバブル経済の崩壊後、低金利が続いてきたことがある。各行にも金利が上がる局面を経験した行員はほとんどいないとされ、行員教育は貸出金利の引き上げを巡る融資先との交渉に備える意味合いが強い。