3メガバンクで住宅ローン固定金利0.05~0.14%上昇 「金利のある世界」への動き強まる

AI要約

大手銀行が6月から住宅ローンの固定金利を引き上げることを発表し、10年固定の基準金利が13年ぶり高水準に達した。

背景には、長期金利の上昇基調があり、日銀の金融緩和策転換や追加利上げの可能性が議論されている。

住宅ローンの固定金利が上昇する中、変動金利も影響を受ける可能性があり、今後の日銀の政策決定が焦点となる。

3メガバンクで住宅ローン固定金利0.05~0.14%上昇 「金利のある世界」への動き強まる

大手銀行が6月から適用する住宅ローンの固定型金利を発表した。10年固定の基準金利の引き上げ幅は、3メガバンクで0.05~0.14%となった。

10年固定の基準金利は、三菱UFJ銀行が3.98%、三井住友銀行が4.05%、みずほ銀行が3.65%に引き上げた。3メガバンクの平均は13年ぶりの高水準となる。

各行は、利用者の信用度に応じて優遇幅を設けて実際に適用する金利を決めているが、信用度が高い人に適用される最優遇金利も1.20%~1.75%に引き上げられた。

引き上げの要因は、長期金利の上昇基調の強まりだ。長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の利回りは、5月30日の東京債券市場で、一時1.1%をつけるなど、約13年ぶりの高い水準で推移している。

背景にあるのは、大規模な金融緩和策を転換した日銀が、追加利上げに早期に動くのではとの観測だ。

5月9日に公表された4月の日銀金融政策決定会合での「主な意見」では、追加の利上げに前向きな声が相次いだ。円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合は、「正常化のペースが速まる可能性は十分にある」とした指摘があったほか、「金利のパスは市場で織り込まれているよりも高いものになる可能性がある」との認識も示された。

日銀は国債の買い入れ額を据え置いていたが、5月13日に、残存期間5年超10年以下の国債について500億円減らして4250億円にするとして、一転して減額を打ち出した。

市場関係者の間では日銀が近く利上げに踏み切るのではとの思惑が広がり、国債買い入れのさらなる減額を見通す向きも強まって、日銀の政策修正が意識されるなかで長期金利の上昇ピッチが強まっている。この先も高い水準が続けば、住宅ローン固定型金利は7月以降もさらに上昇していく可能性がある。

今後の焦点は、日銀の追加利上げの時期だ。

上昇を続ける「固定型」金利に対し、低い水準に抑えられ、7割の人が利用しているとされる「変動型」金利は、多くの銀行で、短期プライムレート=短プラと呼ばれる優良企業向けの短期の貸出金利をもとに決められている。

3月の日銀のマイナス金利解除では、一部のネット銀行を除き、3メガバンクをはじめ大半の銀行が短プラを変更しなかったが、日銀が追加利上げに踏み出せば、短プラが引き上げられる可能性があり、変動型金利の上昇が視野に入ることになる。