住宅ローン金利「固定10年」を5大銀行すべて引き上げ、三菱UFJなど3行は13年ぶり高水準

AI要約

大手銀行5行は6月から適用する住宅ローン金利を発表。長期金利の上昇に伴い、基準金利を引き上げ。最優遇金利も引き上げ幅は0・05~0・14%で上昇。

住宅ローン金利の上昇は長期金利の上昇に起因。3月以降の日本銀行の金融緩和策終了や量的引き締め観測により長期金利が上昇している。

一方、変動型基準金利は据え置かれ、今後の日銀金融政策次第で上昇する可能性がある。

 大手銀行5行は31日、6月から適用する住宅ローン金利を発表した。5行とも長期金利に連動する「固定型」の基準金利(期間10年)を引き上げた。長期金利の上昇傾向を反映しており、引き上げ幅は0・05~0・14%で、三菱UFJ、三井住友、りそなの3行は2011年5月以来の高水準となった。

 基準金利は、三菱UFJ銀行が3・98%、三井住友銀行が4・05%、みずほ銀行が3・65%、りそな銀行が4・03%、三井住友信託銀行が3・94%となった。5行が一斉に引き上げるのは2か月連続となる。

 銀行は、借り手の信用度に応じて基準金利から引き下げ、実際の適用金利を決めている。最も信用度が高い人に適用する最優遇金利は0・05~0・14%引き上げて、1・20~1・83%とした。

 住宅ローン金利が上昇したのは、長期金利が上がっているためだ。5月30日の東京債券市場では、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りが1・1%まで上昇し、11年7月以来、約13年ぶりの高水準をつけた。

 日本銀行が3月に大規模な金融緩和策を終えて以降、長期金利の上昇傾向は鮮明になっている。足元では、日銀が国債の買い入れ額を減らす「量的引き締め」に転じるとの観測もあり、長期金利の上昇が一段と目立っている。大手銀行広報担当者は、「金利水準は他行との差別化の要素だが、これだけ長期金利が上がっているので、引き上げざるを得ない」と話した。

 ただ、住宅ローン利用者の約7割を占める「変動型」の基準金利は、各行とも2・475%で据え置いた。最優遇金利も0・330~0・475%と前月から変更しなかった。変動型は短期金利に連動しており、日銀の金融政策次第では、変動型も上昇する可能性はある。