米変動金利住宅ローン、10人に1人は調整後の返済遅延・不履行を懸念

AI要約

米国の変動金利住宅ローンを組んだ170万人余りが急増するローン返済額に直面

固定金利期間終了後の金利調整がストレス要因となることが指摘されている

変動金利型住宅ローン利用者の多くがローン支払いへの不安を抱えている

(ブルームバーグ): 2019年以降に変動金利でローンを組み、住宅を購入した米国の170万人余りがローン返済額の急増に直面することになりそうだ。

総じて裕福な彼らが所有する高級物件への融資は平均で約100万ドル(約1億5700万円)に上る。最初の数年間は固定金利の30年ローンよりも低い金利に設定されるが、その後は現在の借り入れコストに基づき年に1-2回調整される。

金利が20年ぶりの高水準に急上昇した後で固定金利期間が終わるのは、推定33万人の借り手にとって最悪のタイミングと言える。ICEモーゲージ・テクノロジーによれば、今後12カ月以内にさらに10万人が最初の金利調整を経験する。スライブ・ローンズの住宅ローンアドバイザー、クリス・スターンズ氏は変動金利での借り手の暮らし向きは良い傾向にあるとはいえ、迫り来るローンのリセットがストレスになっていると指摘する。

スターンズ氏は「住宅ローン金利が固定期間を終了すると、特に多額のローンを抱えている場合、問題が発生することがある」と述べ、「返済額はほぼ2倍になり、きれいごとでは済まされない」と続けた。

英国やオーストラリアなどとは異なり、米国の住宅ローンの大半は長期固定金利であり、大抵の住宅所有者はインフレ退治を進めてきた米金融政策当局の利上げの打撃を受けずに済んだ。米国の住宅ローンのうち変動金利型は約5.5%だが、借り入れが額がより大きいため、ドル建てベースだとその割合がより大きくなる。

世論調査会社シビックサイエンスが今月、ブルームバーグ向けに実施した調査によると、変動金利住宅ローン利用者の70%が金利上昇に伴い、リセット後の住宅ローンの支払いに少なくとも幾らかの不安があると答えている。また、ほぼ10人に1人はローン金利調整後に返済遅延やデフォルト(債務不履行)に陥ったりする恐れがあると考えている。

原題:US Homeowners With Adjustable Mortgages Face $1,000-a-Month Jump