オッペンハイマーの孫が来日会見 「核に限らず兵器使うべきでない」

AI要約

米国の原爆開発「マンハッタン計画」を指揮したJ・ロバート・オッペンハイマー博士の孫、チャールズ・オッペンハイマー氏が原爆の使用についての見解や祖父の教訓について語った。

チャールズ氏は、祖父の教えを尊重し、人類存続の危機に対処するために国際的な団結と核軍拡の阻止を訴えている。

彼はNPO「オッペンハイマー・プロジェクト」を立ち上げ、核エネルギーの平和利用を通じて気候変動やエネルギー問題の解決に取り組んでおり、広島を訪れて被爆者の証言を聞くなど、平和活動にも積極的に動いている。

オッペンハイマーの孫が来日会見 「核に限らず兵器使うべきでない」

 米国の原爆開発「マンハッタン計画」を指揮し、「原爆の父」と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマー博士(1904~67)の孫チャールズ・オッペンハイマー氏(49)が3日、東京・日本記者クラブで記者会見した。

 原爆使用についての見解を問われ、「核兵器に限らず、あらゆる兵器を使うべきではない。祖父は戦後、核兵器の国際管理によって軍備競争を阻止しようとした」と語った。

 祖父を描いた映画「オッペンハイマー」は世界で大ヒットし、米アカデミー賞7冠を獲得するなど注目を集めた。原爆を開発した祖父が残した教訓について、チャールズ氏は「人類存続の危機に対処するために団結しなくてはならない。軍備競争をしなければ、いまのような危機的状況にはならなかった。今こそロバート・オッペンハイマーの声を聞く時だ」と語った。「特に緊張が高まっている核大国の米国、ロシア、中国の緊張緩和を図らなければならない。それは、日本が提唱するのが一番良い」と述べた。

 チャールズ氏はNPO「オッペンハイマー・プロジェクト」を2019年に立ち上げ、核分裂技術の平和利用を通じて、エネルギー不足や気候変動の課題解決に取り組んでいる。1日には広島平和記念公園を初訪問し、被爆者の証言を聞いた。

 祖父ロバート氏は1960年に知的交流委員会の招きで来日し、東京や京都などを訪れたが、被爆地の広島・長崎には行かなかった。原爆開発について記者団に問われ、「原爆の技術的成功に関与したことについては後悔していない」と答えていた。(田井中雅人)