「悲惨さが桁外れ」現場に偶然居合わせ救護にあたった医師 初めて語る当時の状況 八田與一容疑者逃亡2年【大分発】

AI要約

2022年6月、大分県別府市で発生したひき逃げ事件で若者が犠牲になった。医師と看護師が現場で懸命な救護を行い、しかし大学生は救えなかった。

事件から2年経った今も容疑者は逃走中であり、被害者の遺族は未だに正義を求めている。

医師は今、現場での出来事を振り返り、事件の悲惨さに心を痛めている。

「悲惨さが桁外れ」現場に偶然居合わせ救護にあたった医師 初めて語る当時の状況 八田與一容疑者逃亡2年【大分発】

2022年6月、大分県別府市で起きたひき逃げ事件では未来ある若者が犠牲になった。

取材を進めていくと、事件発生直後の現場で偶然居合わせた人たちが懸命な救護を行っていたことがわかった。

「事故の現場の悲惨さが今まで見たほかの事故と比べて桁外れだった」

こう話すのは事件現場に偶然居合わせた医師の男性である。これまでは語ることを避けてきたが、懸命な救護が行われていたことを遺族に伝えたいと、今回TOSの取材に応じてくれた。

この事件は2022年6月29日、別府市の交差点でバイクに乗っていた男子大学生2人が車に追突され、このうちの1人が亡くなったものである。

2年前、医師は犬の散歩で現場近くを訪れていた。

その時、突然大きな衝撃音が…すぐに音がした方向に向かったという。

「1人若い男性が道路の上で仰向けになって倒れていたので、まずそちらに近づいて声をかけて『大丈夫か』とか『手は動くのか』とか確認して、そちらが大丈夫だと分かって、その若い男性も向こうに『友達がいる』と言っていたので、パッと見たらバイクと車と(もう一人の)若い男性が倒れているのが見えた」と医師は当時の状況を振り返った。

そして、重篤な状態だったもう1人の大学生の元へ。同じく偶然現場に居合わせた女性看護師2人とともに救護を始めたという。

「駆け寄って本人に声をかけても全く反応が無い状態で。そういう確認をしている時に、通りがかりの人が2人来て『私看護師です、手伝います』と名乗り出てもらったので、一緒に体を仰向けの状態に戻して心肺蘇生をした。何とか助けようと思って、もちろん何も(医療器具を)持っていないから、とにかく胸を押していた。心臓マッサージに反応しないが、何とか3人で代わりながら、助けようという思いでやっていた」

約10分後、救急車が到着し、大学生は搬送されたが、医師たちの思いは届かず、亡くなった。

あれから2年。

現場から逃走した八田與一容疑者が道路交通法違反のひき逃げの疑いで重要指名手配されているが、依然行方は分かっていない。

時間が過ぎていく中で、医師は今、次のようなことを感じているという。