医療費助成も、残る格差 長崎体験者、「被爆者と同等」に反発 被爆体験者訴訟

AI要約

長崎原爆に遭った被爆者と認定されていない約6300人に被爆者と同等の医療費助成が対象に加えられることが決まった。

しかし、被爆者としての認定はされないままであり、原告らからは不満の声が上がっている。

国は被爆体験者に対する医療費助成を改善し、対象病気を拡大すると発表した。

 国が定める被爆援護対象区域の外で長崎原爆に遭ったため被爆者と認定されていない「被爆体験者」約6300人について、国は被爆者と同等の医療費助成の対象者に加えることを表明した。

 しかし、被爆者として認められない点は変わらないままで、長年被爆者手帳の交付を求めてきた原告からは「受け入れられない」などの声が上がった。

 国は爆心地から半径12キロ以内で区域外にいた住民を被爆体験者として、2002年から一部の疾病に対する医療費を助成してきた。ただ、健康手帳が交付される被爆者と比べて、対象となる疾患の範囲や、健康管理手当(現行月額3万6900円)の有無などで格差が生じている。

 現行の医療費助成は、被爆体験による精神疾患とその合併症、胃がんなどの7種類が対象。これを被爆者と同等に全ての病気(遺伝性や先天性、軽い虫歯などを除く)に拡大し、これまで必要としてきた精神科への受診要件を撤廃するという。

 被爆者として手帳交付を求めてきた原告団長の岩永千代子さん(88)は怒りをあらわにし、「受け入れられない」などと話した。一方、鈴木史朗長崎市長は「被爆体験者全体の救済が大きく前進した」と、一定の評価を示した。