島根県知事、廃線危機のJRローカル線の存続「社会的な約束だ」 経団連の消費税引き上げ提言に「世も末だ」と反発

AI要約

島根県の丸山達也知事はJR西日本の木次線の存廃を巡る議論において、廃線を検討する動きに反対し、路線維持の重要性を強調した。

木次線の利用者低迷やマイカー利用の増加などが課題となっている中、議論を前進させるため、沿線自治体との協議が行われている。

丸山知事は、路線維持が社会的な責務であり、試行錯誤しながら解決策を模索していく姿勢を示している。

島根県知事、廃線危機のJRローカル線の存続「社会的な約束だ」 経団連の消費税引き上げ提言に「世も末だ」と反発

 島根県の丸山達也知事は共同通信のインタビューに応じ、島根県内などを走る木次線の利用者が特に低迷している区間のあり方を協議したいとするJR西日本に対して「受け継いだ路線を維持していくのが社会的な約束だ」と廃線を検討する動きをけん制した。一方、経団連の税制改正に関する提言で消費税引き上げに言及したことには「少子化を悪化させかねない。世も末だ」と反発した。(共同通信=白神直弥)

 ▽私鉄とは違う

 1987年の日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化を受けて、98年に旧国鉄の債務24兆円が国の一般会計に承継された。

 丸山氏は「国民に借金を減らしてもらって民営化した」のを踏まえると、JR西日本などの路線存廃を「私鉄と同じように単純な経営問題と考えるのはおかしい」と指摘した。

 JR西日本は今年5月、木次線のうち1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が2023年度に72人と低迷している出雲横田(島根県奥出雲町)―備後落合(広島県庄原市)間の29・6キロのあり方を沿線自治体と議論したいと表明した。丸山氏は議論では廃線を前提としないという「受け止めで対応を検討する」と強調した。

 島根県がある中国地方でも道路整備が近年進み、マイカーへの移行が鉄道の逆風となっている。丸山氏は「利用者が減ってきているのも事実だ」としつつ、「子どもや免許返納者などがおり、車の利用とバランスを取って(鉄道を)残していかなければならない」と訴える。

 JR西日本は、利用者数が低迷していた三江線を2018年に廃止した。備後落合で木次線と接続する芸備線のうち、備中神代(岡山県新見市)―備後庄原(広島県庄原市)間の存廃を話し合う国の「再構築協議会」が今年3月に全国で初めて設置されている。こうした動きを受け、自治体関係者からは「JR西日本は路線廃止を加速させようとしている」と警戒する声も出ている。

 丸山氏は木次線などの見直しについて「路線を維持する社会的責務がJR側にあるというところからスタートしなければならない」と言及。その上で、一切の事情変更を認めないわけではなく「試行錯誤しながら決めていかないといけない」とも話した。