政策コンテスト、脱法推奨と批判 「残業は業務委託」が優勝

AI要約

内閣府が実施した「賃上げ」に関する政策案コンテストに対する批判が強まっている。業務委託契約に切り替えることで社会保険料の負担を減らす案が優勝し、労働組合や専門家からは脱法行為との指摘も。

労働法の専門家らは、個人事業主扱いで労働時間が管理されなくなる恐れがあると懸念。連合も内閣府の行動を遺憾として非難。

政府の姿勢が問われる中、労使双方にメリットがあるとされるアイデアコンテストの結果に対する議論が広がっている。

 内閣府が実施した「賃上げ」に関する政策案コンテストに対し、労働組合や労働法の専門家から「脱法行為の推奨だ」などとの批判が相次いでいる。時間外労働(残業)に関して、業務委託契約に切り替えることで社会保険料などの負担を減らすというアイデアが「優勝」に選ばれたためで、政権の姿勢が問われるとの指摘も出ている。

 内閣府は6月、府内の職員を対象に実施した「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」の結果をホームページなどで公表。優勝に選ばれたアイデアは、会社員の残業を禁止して、定時以降の業務は個人事業主として業務委託するという案で、社会保険料の負担が減って手取りが増えるなど労使双方にメリットがあるとする内容だった。

 これに対し労働法の専門家らは、実質的に会社の指揮下にありながら個人事業主扱いとなることで労働時間が管理されなくなる恐れがあるなどと指摘。連合は「国の重要政策の企画立案をつかさどる内閣府が法の潜脱行為を助長するような提案を表彰し公表したことは遺憾」とする事務局長の談話を公表した。