沖縄戦に巻き込まれた人々の白黒写真、200枚以上をカラー化…「どこか遠い歴史」から「自分事」に

AI要約

大阪市の会社員男性(44)が、太平洋戦争末期の沖縄戦に巻き込まれた住民たちを撮影した白黒写真200枚以上をカラー化した。負傷し、手当てを待つ子どもらの表情が色鮮やかに再現され、男性は「戦争体験者が高齢化して語れなくなっている。カラー化写真を通じて目を向けてほしい」と話し、SNSで公開している。

男性はIT関連企業に勤める傍ら、5年前から白黒写真のカラー化に取り組み、X(旧ツイッター)では「ホリーニョ」の名前で発信する。白黒写真は米軍によって撮影され、沖縄県公文書館などが所蔵。いずれも著作権の制限がなく自由に利用できるものだ。

男性は沖縄に住んだことはないが、毎年のように休暇で訪れる場所だった。沖縄への認識が変わったのは2018年。漁や市場の様子など戦前の沖縄の豊かな暮らしを収めた写真を渡邉教授がカラー化したものを見たことがきっかけだった。

 大阪市の会社員男性(44)が、太平洋戦争末期の沖縄戦に巻き込まれた住民たちを撮影した白黒写真200枚以上をカラー化した。負傷し、手当てを待つ子どもらの表情が色鮮やかに再現され、男性は「戦争体験者が高齢化して語れなくなっている。カラー化写真を通じて目を向けてほしい」と話し、SNSで公開している。(南暁子)

 男性はIT関連企業に勤める傍ら、5年前から白黒写真のカラー化に取り組み、X(旧ツイッター)では「ホリーニョ」の名前で発信する。白黒写真は米軍によって撮影され、沖縄県公文書館などが所蔵。いずれも著作権の制限がなく自由に利用できるものだ。

 同館のデジタルアーカイブ(電子保存資料)から、専用アプリに読み込ませると、AI(人工知能)が学習したデータを基に自動で着色。色ムラや、歴史考証上、不自然と思われる色を手作業で修整する。男性は、カラー化の第一人者である渡邉英徳・東京大教授の講習会で手法を学んだ。

 男性は沖縄に住んだことはないが、毎年のように休暇で訪れる場所だった。沖縄への認識が変わったのは2018年。漁や市場の様子など戦前の沖縄の豊かな暮らしを収めた写真を渡邉教授がカラー化したものを見たことがきっかけだった。

 「白黒写真に写るものはどこか遠い歴史だったが、カラーで見ると、自分と同じ人間、変わらない営みがあったと認識させてくれた」

 沖縄の戦跡や資料館を巡って歴史を学び、翌年からカラー化を始めた。「この風景が、多くの命が戦争で奪われた。そのことを伝えたい」との思いが募った。

 カラー化にあたっては、米軍が撮影した写真の中から、女性や子どもが写っているものを中心に選んだ。最も戦争に翻弄(ほんろう)された人たちだと考えたからだ。「見る人に自分事として認識してもらいたい」と、写真が撮られたとされる日と同じ日付に投稿してきた。

 「米軍医による手当てを待つ子ども」(1945年6月21日撮影)は、はだしで地べたに座る子どもが疲れ切った表情でカメラの方向を見据える。「地上戦が激化する首里城付近で、避難する母子」(同年6月撮影)からは、幼児2人を背負い荷物を肩からかけて歩く女性のたくましさが伝わる。