“口臭”はなぜ発生する?【口臭の基本知識】正しく知れば、最適なケアが可能に!

AI要約

口臭は口内の細菌がタンパク源を分解する過程で発生する。

口臭源である唾液が濁るとにおいが強くなり、唾液量が少ないとネバつく。

口内の細菌が多いのは寝起きのタイミングで、ストレスや集中、食事などでも口臭が発生しやすい。

“口臭”はなぜ発生する?【口臭の基本知識】正しく知れば、最適なケアが可能に!

口臭ってとてもデリケートな問題。色々と対策する前に、正しい知識を身につけるべく、専門医が詳しく解説してくれました!

TOKYO BREATH CLINIC

日本口臭学会認定医。2002年に開業した「新浦安デンタルクリニック」では、口臭症治療の分野で2011年より5年連続全国1位の実績を上げ、2017年に銀座に女性のための口臭症専門クリニック「東京ブレスクリニック」を開業。全国各地から訪れる患者一人ひとりと真摯に向き合い、治療実績の高さに定評がある。雑誌やWEBなどでの記事監修も多数。

口臭は、口の中の細菌が、唾液や粘膜・食べカスなどをタンパク源にして、酵素を出しながら分解していく過程で発生します。これが最終的に『揮発性硫化物(きはつせいりゅうかぶつ)』と呼ばれるガスになり、主に口からニオイとなって出てきます。“揮発性”、つまり液体が蒸発して気体に変化している状態。“口の中の液体=唾液や少量の粘液”がニオイのもとになっているということです。

口臭源である唾液が濁っていると嫌なニオイが出るし、唾液量が少ないとどうしてもネバつきます。逆に、サラサラ唾液がきちんと出て循環していれば、それほどにおいません。歯周病や内科的な疾患など病気由来の口臭もありますが、これは病そのものを治せばニオイも自然と消えていきます。日常的な口臭のほとんどは器質的な異常がないにもかかわらず誰にでも起こる生理的口臭が強く出た状態で、お口からニオイとなって出てくる揮発性硫化物の発生です。

揮発性硫化物は、温泉地のような、温めた卵の黄身のような、“硫黄臭さ”を放つガスです。それが『ドブっぽい』、『排水溝っぽい』と言われる所以。歯も舌も表面は唾液で覆われているので、ドブっぽいニオイを放つときは、唾液そのものがネバネバして汚れているということ。その唾液が蒸発すると、嫌な口臭を発生させてしまいます。

一日の中で、もっとも口内の細菌が多いのは寝起きのタイミング。寝ている間は舌の動きが停止するため唾液が出にくく、悪玉菌が飽和状態に。誰でもニオイが出ます。また、唾液の分泌は自律神経が支配しています。交感神経が強く働くと、唾液が出なかったりネバつきやすくなったりするため、緊張やストレスを感じているときも口内が乾いて口臭が起こりやすいタイミング。さらに、奥歯をギュッと噛み締める行為も、口の中の機能が停止して酸素不足になるため、唾液が循環せずに口臭が慢性化されやすくなります。なので、パソコンやスマホを夢中で見つめているなど、一つの作業に集中しているときも注意が必要。とくに下向き作業が続くと、ノドの奥から圧迫された口臭が出てしまうので、気をつけましょう。

イラスト/腹肉ツヤ子 取材・文/橋場鈴里

Edited by 西村 美名子