「人生壊された」 パワハラで防衛技官3人が国を提訴 広島地裁

AI要約

3人の女性防衛技官が海田市駐屯地でパワーハラスメントを受け、適応障害になり、国と元上司に990万円の賠償を求める訴訟を起こした。

上司からの責め立てや怒鳴り声により、3人は適応障害と診断され、休職。訴えでは、安全配慮義務違反を主張している。

提訴後の記者会見では、被害者たちは組織の責任を追及し、「人生を壊された」と訴えている。

「人生壊された」 パワハラで防衛技官3人が国を提訴 広島地裁

 陸上自衛隊海田市駐屯地(広島県海田町)で、当時の上司からパワーハラスメントを受けて適応障害になったとして、防衛技官の女性3人が1日、国と元上司に計990万円の賠償を求める訴えを広島地裁に起こした。原告側はいずれも休職しており、「人生を壊された」と訴えている。

 訴状などによると、3人は海田市駐屯地業務隊に所属。2018年夏~22年夏ごろ、業務上のミスについて全体の朝礼で「どうしたらちゃんとできるんだ」「開き直るな」などと責め立てられた。「誰の許可を得て残業しているんだ」などとも怒鳴られ、繰り返し叱責された。

 体調を崩した3人は適応障害と診断され、22年6月以降に相次いで休職。うち2人は約1年後に復職したが、1人はまだ職場復帰できていない。訴えでは、職場での違法なパワハラを放置した安全配慮義務違反があると主張している。

 3人はこれまで業務隊のトップらに被害を相談したが、対応してもらえなかったという。防衛省が同年9月から実施したハラスメントに関する特別防衛監察でも訴えたが、24年2月に「パワハラはなかった」と認定されたため、提訴に踏み切った。

 原告の2人は提訴後に広島市内で記者会見し、「パワハラに我慢した結果、人生を壊されたと思っている。組織がきちんとしていれば、3人も休職せずに済んでいたはずだ」などと主張。代理人を務める坂下宗生弁護士は「自衛隊自身の自浄作用が働くべきだが、裁判を通して訴えたい」と語った。

 提訴を受け、海田市駐屯地は「訴状が届いていないため、確認できない」としている。【中村清雅、井村陸】