アスリートの命運握るクラス分け、ボッチャで「資格なし」判定覆る

AI要約

パリ・パラリンピックは28日で開幕まであと2か月となった。日本代表が続々と決まる中、公平に競技するために必要な「クラス分け」で影響を受けた選手がいる。

ボッチャの内田峻介(21)(大体大)は昨年、一度はパラ出場の「資格なし」とされたが、2度目の判定でパリへの扉が開いた。クラス分けに再び注目が集まっている。

内田は当時のことを苦しそうに振り返った。先天性の多発性関節拘縮症で両手足に障害があったが、幼い頃から水泳や陸上などに親しみ、重度障害者向けのボッチャに出会ったのは中学生の時。

 パリ・パラリンピックは28日で開幕まであと2か月となった。日本代表が続々と決まる中、公平に競技するために必要な「クラス分け」で影響を受けた選手がいる。ボッチャの内田峻介(21)(大体大)は昨年、一度はパラ出場の「資格なし」とされたが、2度目の判定でパリへの扉が開いた。クラス分けに再び注目が集まっている。(畔川吉永)

 「パリ・パラリンピックまであと少しの所で全てが真っ暗になった……」

 内田は当時のことを苦しそうに振り返った。先天性の多発性関節拘縮症で両手足に障害があったが、幼い頃から水泳や陸上などに親しみ、重度障害者向けのボッチャに出会ったのは中学生の時。「J―STAR・プロジェクト」の1期生に選ばれてステップアップし、2022年の世界選手権(リオデジャネイロ)ではBC4男子個人戦で優勝した。内田はパリに向かって一直線に進んでいた。

 ところが、順調な歩みは昨年12月に暗転した。香港の国際大会で行われた「国際クラス分け」で、内田の障害が定められた基準より軽度で「資格なし」(NE)と判定された。評価の機会は2度あり、次の国際大会で、再度「NE」となればパリ・パラへの道は完全に閉ざされてしまう。日本協会は、次に予定していた3月の代表選考会(ポルトガル)への派遣を取りやめた。

 パラスポーツでは国際競技連盟(IF)がクラス分けの規定を必要に応じて見直す。ボッチャは21年東京パラ後、BC1~4のうち、BC4に限って見直しとなり、全選手が再評価の対象となった。この結果、内田だけでなく、パラリンピック・メダリストもNEになった。

 BC4は筋ジストロフィーなど障害の幅が広いのが特徴だが、今回は基準自体が変わったわけではなく、上肢や体幹機能の評価方法がより詳細になったという。日本協会の片岡正教クラス分け委員長は「例えば上肢の筋力評価では、ボールを持った状態で姿勢を何秒間保持できるかなど、より具体的になった」と話す。