実は他人ごとじゃない!「適応障害」とはどんな病気? ストレスから3ヵ月以内に症状が現れる

AI要約

適応障害は、ストレスに適応できずに起こる心因性の精神疾患であり、社会生活に支障をきたす可能性がある。

適応障害が病気の範疇に入るかどうかは、環境の変化に苦痛を感じるかどうかや、ストレスの原因が明確かどうかによって判断される。

精神疾患の原因は心因、内因、外因に分けられ、適応障害は心因によるものである。

実は他人ごとじゃない!「適応障害」とはどんな病気? ストレスから3ヵ月以内に症状が現れる

 「仕事をする気が起きず、出社がいやになってしまう」、「夜になると気持ちが落ち込み、眠れないし食欲もない」、「つらいできごとを思い出しては苦しくなって泣いている」……。病院に行くほどではないけれど、不安や抑うつの症状があるのなら、適応障害になっているのかもしれません。

 適応障害とはストレスに適応できずに起こる、病気と健康の境目にある「状態」のこと。症状が軽いため、ストレスがなくなれば6ヵ月以内に回復するといわれています。しかし重症化すると、うつ病やPTSD、不安症など、ほかの病気に移行することもあるため油断はできません。

 この連載では『適応障害のことがよくわかる本』(貝谷久宣監修、講談社刊)から、全8回にわたり、適応障害の対策を立てるためのヒントをご紹介します。ストレスと折り合いをつけながら、焦らずに柔軟で強いこころを育てていきましょう。

 適応障害のことがよくわかる 第1回

 適応障害は、就職、進学、結婚や離婚などのストレスに適応できずに生じる心因性の精神疾患です。そのため、会社や学校、家庭や近隣など、社会生活に支障が出てきます。

 環境の変化にうまく適応できなくても、日常生活はなんとか送ることができる人は多くいます。一方、本人が環境の変化に苦痛を感じていて、健康な生活ができないのなら、病気の範疇に入ります。不安や抑うつの症状は適応障害と共通するところが大きく、違いは原因となったストレスが明確かどうかだけです。(適応障害はストレスが明確)

 つまり適応障害は、いわば病気と健康の境目にある「状態」を指す病名です。適応障害になる率は、ほとんど調査されていません。米国の精神科クリニックでは外来の5~20パーセントという報告があります。

 【こころの病気の原因】

 精神疾患を発症する原因は、大きく3つに分けられます。心因、内因、外因です。どれか1つというわけではなく、3つが重なっていることもあります。適応障害は心因によります。

 ●心因

 ストレスや悩み、不安、恐怖など、こころの状態や環境的な原因によって発症するもの。本人の性格も大きくかかわっている。

 ●内因

 生まれつきの体質、気質など、本人の内側に原因があって発症するもの。遺伝の影響など、まだ解明されていない部分も多い。

 ●外因

 事故や病気などで脳に影響が及び、こころの病気として症状が現れるもの。アルコールや薬物が原因となるものも含む。