G7サミット閉幕、AI開発の国際基準作り加速を確認…中国のロシア支援に「深刻な懸念」表明も

AI要約

先進7か国首脳会議(G7サミット)が終了し、AIや国際ルール作りに焦点を当てた首脳声明が採択された。

民主主義に対する脅威として外国政府による情報操作や選挙干渉に対処するための枠組みが構築されることが決定された。

中国やロシアへの対処姿勢やウクライナ支援、原発処理水海洋放出についても声明が示された。

 【バーリ(イタリア南部)=倉茂由美子、中西梓】先進7か国首脳会議(G7サミット)は15日、議長国イタリアのメローニ首相の総括記者会見で3日間の日程を終えた。討議終了後に採択した首脳声明では、人工知能(AI)など先端技術がもたらす社会変革を見据え、国際ルール作りを急ぐ方針を明記した。自由で開かれた国際秩序を堅持するためロシアや中国に厳しく対処する姿勢も明確にした。

 首脳声明では、AIに関し、昨年のG7広島サミットで合意した規制の包括枠組み「広島AIプロセス」を踏まえ、AI開発企業が守るべき国際的な基準作りをG7が連携して進め、安全性に関する報告を企業に求める枠組みを構築することを確認した。安全な開発を進める企業を判別できる仕組み作りにも取り組むと決めた。

 今年は米大統領選など大型選挙が相次ぐ世界的な「選挙イヤー」だ。首脳声明では、外国政府による情報操作や選挙干渉を「民主主義に対する脅威」と位置付け懸念を共有した。対抗するための共同の枠組みを年末までに構築する。

 経済安全保障に関しては、巨額な補助金を出すことで過剰生産を招いている中国の産業政策に懸念を表明した。貿易相手国に圧力をかける「経済的威圧」に関しても、重要鉱物の輸出規制を控えることを求めた。

 中国に対しては、ウクライナを侵略するロシアへの支援についても「深刻な懸念」を表明し、ロシアによる「違法な戦争の継続を可能にしている」と指摘した。軍事転用可能な資材の移転停止を求め、関連する中国などの金融機関や団体に制裁を科す方針も確認した。北朝鮮に対しロシアとの軍事協力強化を「可能な限り最も強い言葉で非難」した。

 一方、ウクライナへの支援ではロシアの凍結資産の運用益を活用しながら年内に約500億ドル(約7兆8000億円)の追加支援を決定したと明記した。

 声明では、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出についても言及し、「安全で透明性が高く、科学に基づいた日本のプロセスを支持する」とした。

 来年のG7サミットはカナダ南部アルバータ州カナナスキスで開かれる。