G7サミット、AIの倫理的使用に向けて議論 軍事利用など負の側面へ対応

AI要約

G7サミットでは、AIの悪用防止と倫理面について議論が行われ、国際連携が急務とされている。

AIの急速な普及と共に、軍事利用や偽情報の拡散など負の側面も顕在化しており、対処が求められている。

日本政府も国内でのAI法規制導入に向けた議論を始め、G7の考えに合わせる方針である。

14日の先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、AI(人工知能)の悪用防止へ向けた国際連携についても議論が行われる。自動で文章などを作成する生成AIは社会の成長に貢献すると期待されるものの、軍事利用や偽情報の拡散など負の側面も顕在化しており、G7として対応が急務だとの声が強まっている。

会議にはAIの倫理面に懸念を持っているとされるローマ教皇フランシスコが参加。AIを倫理観に沿って使用するための国際的枠組みやガイドラインの創設へ向け協議したほか、AIが経済安全保障に影響を与えないよう規制する重要性などが確認される見通しだ。

AIは昨年以降、急速普及したが、同時に悪用も目立ち始めている。軍事面では、ロシアによるウクライナ侵攻でAIを搭載したドローンが投入されており、戦闘が続くパレスチナ自治区ガザではイスラエル軍が空爆の標的を選ぶのにAIを使っていると指摘される。

AIを使った偽情報の拡散も課題だ。大統領選を控えた米国では、AIが作成したバイデン大統領の偽の声による電話などが横行。世論を操作するため偽情報をAIで生成して交流サイト(SNS)で拡散する海外グループの存在も確認され、効果的な対処には国際連携が欠かせない状況だ。

日本政府は先月、国内でのAIの法規制導入へ向けた議論を始め、G7の考えに歩調を合わせている。今回の会議では日本が昨年のサミットで主導したAIのルール作りを議論する枠組み「広島AIプロセス」の成果を前進させる重要性も確認される見込みで、引き続きAIの適切な規制へ議論を主導したい考えだ。(根本和哉)