夏のお弁当、食中毒に注意 ~細菌を付けない・増やさない・やっつける~

AI要約

夏の高温多湿の季節は、食中毒のリスクが高まる。食材の傷みや細菌繁殖を防ぐためには、慎重な弁当作りが必要だ。

食中毒の原因となる主な細菌についての注意点や予防策、手洗いや調理器具の清潔さについての指摘が重要だ。

食材の選び方や加熱のしっかりさ、食材同士の分離など、弁当作りにおける具体的なアドバイスについて紹介されている。

夏のお弁当、食中毒に注意 ~細菌を付けない・増やさない・やっつける~

 気温、湿度が高い夏は、細菌やカビなどが繁殖しやすい。食材が傷む進行も早く、作ってから食べるまで時間がある弁当には注意が必要だ。東京ガスの管理栄養士・滝沢範子さんは「作るときの食中毒予防の大原則は、細菌を付けない・増やさない・やっつける」と指摘する。滝沢さんに食中毒を防ぐお薦めの弁当メニューと作り方を教わった。

 ◇食中毒の正体は細菌

 食中毒の原因としてよくあるのが、加熱が不十分な肉や卵で発生するサルモネラ菌、おにぎりや弁当など調理済み食品を長時間置くことで繁殖する黄色ブドウ球菌、特に鶏肉の加熱不足が引き起こすカンピロバクター、煮物やカレーで見られるウェルシュ菌などだ。

 症状は腹痛、下痢、嘔吐(おうと)、発熱が多く見られるが、頭痛や筋肉痛などもある。発症に至る増殖数は菌によりさまざまで、少ない数で発症する菌、10億個まで増えないと発症しない菌もある。

 「調理前に手をよく洗う。洗った後アルコール消毒してもいい」と滝沢さん。別の食材を触るときはその都度洗う。手に傷がある時は調理用手袋を使う。

 弁当箱のゴムパッキンは外して洗剤で洗い、使用前にしっかり乾燥させる。

 調理器具やまな板もよく洗い、煮沸消毒や台所用漂白剤であらかじめ殺菌しておく。まな板は肉用、野菜用など食材ごとに分けるのもいい。水を拭く布巾も、手用と食器用とに分ける。

 詰める際は使い捨てカップや仕切りを活用して、食材同士を分ける。

 食材の中心部まで、しっかり火を通すことが大事だ。

 卵料理は半熟ではなく、完全に固まるまで加熱する。ハムやウインナー、かまぼこといった加工品の場合も加熱処理した方がいい。

 水分が多いと菌が繁殖しやすいため、汁気の少ない食材やメニューがいい。染み出た水分が他の食材に移るのを防ぐのにも、仕切りやカップが役立つ。

 生野菜や果物はよく洗った後、水気をしっかり切り、できれば別容器に。「保温可能なスープジャーは保冷もできるため、凍らせた果物などを入れるのに便利」と滝沢さん。ただ、夏場の生野菜は水気が残る恐れがあるため、焼くか、揚げるかなど加熱する方が安心だ。

 ご飯やおかずを温かいうちに盛り付けると、蒸気がこもり湿度が高い状態に。傷みの原因になるため、冷ましてから詰める。

 滝沢さんは「職場や学校などまで持ち歩く時は保冷剤や保冷バッグを利用し、冷蔵庫が使える環境なら使用が好ましい」と話す。