「脳の健康寿命」を伸ばす!今日からできる認知症の予防法とは?

AI要約

老化や認知症予防についての重要性が取り上げられた新刊『老化と寿命の謎』について紹介されています。

加齢による健康上の問題や脳の健康寿命の重要性、認知症の予防に関するWHOのガイドラインやランセット委員会の報告が紹介されています。

日常生活での健康習慣や生活改善が認知症予防につながり、地道な生活が大切であることが強調されています。

「脳の健康寿命」を伸ばす!今日からできる認知症の予防法とは?

「足腰が弱っちゃってね」「物忘れが気になるんだ」「耳が遠くなって会話に苦労しているよ」──。

団塊の世代である筆者の周囲で、こんな話題が交わされるようになって久しい。歳を重ねれば心身に具合が悪い部分が生じるのは、自然界の生きものとして当然のことではある。だが、自らの知恵で長寿を獲得したヒトにとって今、充実した長い老いを過ごすうえで必要な「健康の継続」が課題になっている。

新刊『老化と寿命の謎』では、「加齢関連疾患とその周辺」を追い、健康長寿への道を模索する。

*本記事は飯島裕一『老化と寿命の謎』から抜粋・再編集したものです。

巨大な脳を得て、万物の霊長となった人類が実現させた長寿社会──。素晴らしいことだが、加齢は認知症の最大のリスクファクター(危険因子)でもある。こうした中で、人類は認知症予防も追究し「脳の健康寿命」延伸を模索している。それは、長く病まないで天寿を全うして亡くなる「ピン・ピン・コロリ」実現への一つの道ともいえよう。

WHO(世界保健機関)は2019年、「認知機能低下および認知症のリスク低減」のガイドライン(図1)を公表した。医学的エビデンス(根拠)の程度と推奨度に加え、条件などの補足説明を記している。

一方、世界的な認知症専門家で構成するランセット委員会は20年、認知症の予防可能な要因(図2)を報告した。12の危険因子を改善すると、認知症の約40%を予防できる可能性があるとのことで、WHOのガイドラインと重なる項目も多い。

二つの報告の予防因子は生活改善や生活習慣病対策などで、奇抜なものはない。日常生活の中で当たり前のことを、当たり前に行っていくことが認知症の予防につながると理解できる。

「健康のためなら死んでもいい」というブラックユーモアがある。健康は、よりよく生きるために大切なものだが、健康になることが目的化してしまう「おかしな健康ブーム」がいわれて久しい。便利さの中で私たちは性急さを求め、手間暇をかけて健康を得るという「回りくどさ」についていけなくなっている。掲載した二つの表を参考にセルフチェックを行い、地道な生活をしていくことが認知症予防の第一歩となりそうだ。