危険な場所の住民ゼロへ「逆線引き」とは?広島土砂災害から10年
広島県が進める防災取り組みは「逆線引き」で、災害の危険度の高い地域への居住を制限することを目指している。
広島県内には土砂災害特別警戒区域であるレッドゾーンが多く存在し、かつての急激な開発による影響が背景にある。
今後20年で「逆線引き」を終え、50年後には災害リスクの高い区域に新規居住者がほぼいない状態を目指している。
防災のため、広島県が進めている取り組みが「逆線引き」です。ざっくり言うと「災害の危険度の高い地域への居住を制限する」というものです。
私たちが暮らしている街には「市街化区域」=「人が住む街にしていこう、開発してもいい区域」と、「市街化”調整”区域」=「開発を制限する区域」があります。
ですから、両区域の間は「線引き」がされています。
ところが、開発してもいいはずの「市街化区域」の中にレッドゾーンと呼ばれる「土砂災害特別警戒区域」が含まれています。レッドゾーンは土砂災害発生の危険度が特に高いエリアです。広島県はこのレッドゾーンが全国で最も多いんです。
その背景には、かつて急激な人口増加で宅地の需要が高まり、山を切り開いて団地が作られていったという経緯があります。そうした場所で、広島土砂災害や西日本豪雨などで甚大な被害が出ています。
こうしたことから広島県は、山際の危険な場所に住む人を減らそうと考えています。
つまり、これまでは開発できる区域でしたが、その中のレッドゾーンに該当するエリアは開発に制限をかけようというものです。
だから「逆線引き」と呼ばれます。
一方で、すでに住んでいる人たちが転居を求められても、そう簡単ではありません。
ですから、県はまず、住宅や店舗などがない土地から始めます。
13の市町の500か所以上で先行して実施する方針です。
時間がかかるのは承知の上で、概ね20年後に「逆線引き」を終え、災害リスクの高い区域に新規居住者がほぼいない状態に。50年後には災害リスクの高い区域に居住する人が“0”を目指すとしています。
【2024年8月20日放送】