消費者庁も注意喚起! 初心者大家の「サブリース契約」に潜む「想定外のリスク」とは【弁護士が解説】

AI要約

大家業をスタートする初心者にとって魅力的に見える「空室保証」を謳うサブリース契約にはリスクもある。

空室保証のメリットと落とし穴を理解し、サブリース契約を検討する際には慎重になる必要がある。

過去に倒産したサブリース会社を例に挙げ、契約上の保証が実際には絶対ではないことを指摘。

消費者庁も注意喚起! 初心者大家の「サブリース契約」に潜む「想定外のリスク」とは【弁護士が解説】

はじめて大家業をスタートする方は、多くの期待と同時に、さまざまな不安も抱えているでしょうす。そんな方には「空室保証」を謳うサブリース契約が魅力的に見えるかもしれません。しかし、サブリース契約にはときに大きなリスクが潜んでいることもあり、十分な注意が必要です。不動産と相続を専門に取り扱う、山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏が解説します。

大家さんがサブリース会社に物件を貸し、サブリース会社が居住者に転貸借する「サブリース契約」をご存じでしょうか。

厳密には、大家さんとサブリース会社の契約を「原賃貸借契約(=マスターリース契約)」、サブリース会社と居住者の契約を「転貸借契約(=サブリース契約)」といいますが、一般的にこれらの契約をまとめて「サブリース契約」と呼んでいます。

大家さんにとって、サブリース契約のいちばんのメリットは空室保証です。サブリース会社も、これを売り文句にしています。

大家さんとして賃貸物件を運営をするうえで、空室リスクの回避はとても重要です。

居住者が退去後、次の賃借人が入居しなければ、その間の収益はゼロになってしまいます。所有している物件が少ない初心者のオーナーの場合、1部屋でも空室があれば大変です。

そこに空室保証があれば、融資を受けていても毎月必ず返せるので安心、と考える大家さんが多いのでしょう。

しかし、サブリース契約には空室保証というメリットがある一方、落とし穴もあります。

不動産投資に興味がある方なら、2018年の「かぼちゃの馬車事件」をご記憶ではないでしょうか。これは、空室保証をうたっていたサブリース会社が倒産してしまった事例です。

サブリース契約による空室保証は、不動産会社が倒産しない限り有効です。しかし、契約上では空室保証の支払いが取り決められていたとしても、サブリース会社の経営悪化により満額が支払われなかったり、支払いが遅れたりするトラブルは少なくありません。

大手企業の倒産はイメージしづらいかもしれませんが、実際にサブリース会社の破産という事例は2018年に起こっています。サブリース契約による空室保証は絶対ではないのです。

「かぼちゃの馬車事件」は、物件の所有権譲渡の代わりに借金帳消しということで解決しましたが、サブリース契約のトラブルはかなり多いというのが現場の実感です。