奈良県の防災拠点、北部と南部に設置へ 有識者部会中間とりまとめ案

AI要約

奈良県全体の防災体制に関する有識者らの議論をまとめた。北部と南部に中核拠点を設置し、連携・補完を図る計画が示された。

案では南海トラフ地震や大水害などの災害リスクに備え、それぞれ適した施設が整備される予定である。

県有地の活用や新たな移転候補地についても検討し、防災体制の強化に向けた方針が示された。

奈良県の防災拠点、北部と南部に設置へ 有識者部会中間とりまとめ案

奈良県全体の防災体制のあり方を有識者らが議論する検討部会の第4回会合が20日開かれ、県の中心的な広域防災拠点として新たに北部(橿原市)と南部(五條市)にそれぞれ中核拠点を設置し、互いに連携・補完し合う中間とりまとめ案を示した。

案では災害リスクとして、南海トラフ地震や奈良盆地東縁断層帯地震、大水害などを想定。北部は橿原公苑や県立医大新キャンパス、橿原運動公園を、南部はこれまで大規模広域防災拠点として整備が議論されてきた五條市の県有地を、それぞれ中核拠点として位置付けた。その上で南部について、支援部隊を収容するベースキャンプやヘリコプターが離着陸するヘリパッドなどの用地として計9・5ヘクタールの規模が必要だと指摘した。

有識者からは、案を評価する意見のほか、「北部と南部の地域特性の違いを踏まえた整備が必要」や「平時の活用プランが具体的に示されていない」などの意見が出た。

そのほか、老朽化が著しい県消防学校(宇陀市)の移転候補地として、南部中核拠点と旧高田東高校(大和高田市)のいずれの候補地とも効果が期待できるとし、今後県が整備方針を決定する予定だとした。

終了後、部会長の河田恵昭・関西大特別任命教授は報道陣の取材に応じ、「多彩な委員によりさまざまな観点から検討できた」と案を評価。一方、五條市の県有地で議論されてきた大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の設置構想は「災害時に想定される停電の規模や期間などを計算する必要がある」とした。

山下真知事は「県の防災計画の方向性に1つの答えが出た」と述べた。