パート収入が「年130万円」以上になり、夫の扶養から外れてしまいました。高い「国民年金保険料」を納めるのが正直くやしいのですが、何か“第1号被保険者”のメリットはないのでしょうか?

AI要約

第1号被保険者について解説。収入が扶養を超えると国民年金第1号被保険者となり、保険料を支払う必要がある。

社会保険の加入要件や扶養から外れる場合の選択肢について詳しく説明。

第1号被保険者が受けられる給付や特典、社会保険との比較についても触れられている。

パート収入が「年130万円」以上になり、夫の扶養から外れてしまいました。高い「国民年金保険料」を納めるのが正直くやしいのですが、何か“第1号被保険者”のメリットはないのでしょうか?

扶養の範囲内で働くつもりでも、時給が上がったり資格手当がついたりした結果、社会保険の扶養範囲を超えてしまうことがあります。ただし、収入が年130万円(60歳以降は180万円)以上になっても就労先の社会保険の加入要件を満たさない場合は、国民年金第1号被保険者となって保険料を支払わなければなりません。

本記事では、第1号被保険者について、社会保険や扶養との関係、第1号被保険者だけができることなどについて解説します。

妻(夫)の収入が増え、配偶者の扶養から外れると、その後は「勤め先の社会保険に加入する」「自分で国民年金と国民健康保険料を支払う」のどちらかです。自分で選択することはできず、働く時間や日数によって決まります。

■社会保険の加入要件

パート・アルバイトのうち、社会保険に加入しなければならないのは、次の(1)または(2)に当てはまる人です。

(1)従業員数101人以上(2024年10月からは51人以上)の会社に勤務している人

・週の所定労働時間が20時間以上

・基本給および諸手当などが月8万8000円以上

・2ヶ月を超える雇用見込みあり

・学生ではない

(2)上記に該当しない会社に勤務している人

・週の所定労働時間および月の所定労働日数が、フルタイム従業員の4分の3以上

■「扶養」にも「社会保険」にも該当しない人

時給が比較的高い人は、労働時間が短くても年収130万円以上になることがあります。

扶養から外れ、社会保険の加入要件にも該当しない場合は、国民年金第1号被保険者・国民健康保険被保険者として、自分で保険料を納めなければなりません。

自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが、国民年金第1号被保険者です。収入が扶養の範囲を超え、かつ社会保険に加入できないパートも含まれます。

■第1号被保険者の給付

第1号被保険者だけが受けられる給付は、「付加年金」「死亡一時金」「寡婦年金」などが挙げられます。このうち死亡一時金と寡婦年金は「第1号被保険者が死亡したとき」の給付ですから、受給できるのは第1号被保険者本人ではなく遺族です。また、寡婦年金は遺されたのが「夫」の場合は、受給できません。

■第1号被保険者だけが加入できる制度

付加年金とは、月額400円の付加保険料を納めることで、将来の老齢基礎年金に加算されるものです。付加保険料を納付できるのは、国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者だけです。

また、第1号被保険者と60歳以上65歳未満の任意加入被保険者は、国民年金基金に加入することもできます。国民年金基金とは、毎月の掛金を支払うことにより、将来受け取る年金額を増やせる制度です。

第1号被保険者と第3号被保険者(会社員や公務員の夫に扶養されている妻)は、将来の老齢基礎年金は同じ額です。しかし第1号被保険者は、付加保険料または国民年金基金の掛金を支払うことにより、将来の年金を増やすことができます。このことは、第3号被保険者と比べると「得」と言えるかもしれません。

しかし、給付面ではやはり社会保険の方が充実していると考えられます。社会保険に加入すれば、将来の老齢厚生年金の受給につながるだけでなく、傷病手当金など健康保険の給付も受けられるからです。