熱中症対策の水分補給で誤解しやすい3つのこと 適切な水分の取り方とは 栄養士に聞いた

AI要約

梅雨明け後の夏、適切な水分補給が重要

食事からも水分補給を意識しよう

スポーツドリンクの適切な使用方法に注意

熱中症対策の水分補給で誤解しやすい3つのこと 適切な水分の取り方とは 栄養士に聞いた

 全国各地で梅雨明けが宣言され、本格的な夏を迎えています。厳しい暑さが続くなか、熱中症対策として水分補給を心がけている人は多いでしょう。しかし、意外に間違った認識をして、水分補給のつもりがかえって体調不良につながっていることも。夏の適切な水分補給について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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 健康な成人の場合、体重の約60~65%が水分で構成されています。水分の一部は体液となり、栄養素や酸素など必要なものを各細胞に届ける一方、老廃物など体に不要なものは尿として排泄。また、体温の維持などにも働きかけます。私たちは水分によって、生きるための機能が保たれているのです。

 成人が1日に排出する水分量は、体重などによって違いがありますが、およそ2.5リットルといわれています。内訳は尿と便が1.6リットル、呼吸と汗が0.9リットルです。こうして排出される水分を、飲食物から補給する必要がありますが、水分が不足すると脱水症状や熱中症の原因になります。

「のどが渇いた」と感じたときは、すでに脱水が始まっています。のどの渇きを感じる前に水分を取りましょう。

○水分補給は飲み物だけではない

 水分補給というと、水やお茶といった飲み物だけに頼りがちになります。しかし、食事を取らず水ばかり飲んでいると、体内の塩分(ナトリウムイオン)濃度が薄まり、めまいや頭痛を起こすことも。さらに悪化すると、意識が朦朧としたり、けいれんを起こしたりする「水中毒」のリスクも高まります。

 食事をしっかり取っていれば、1日に必要な水分量(約2.5リットル)のおよそ半分は摂取できるといわれています。よく「1日に2リットルの水を飲む」と聞きますが、実際はそんなに飲む必要はありません。暑さで食欲がなく、あまり食べられない場合は、具材を細かく刻んで汁物にすると良いでしょう。いろいろな食材を用いて、多くの栄養素が摂取できるよう工夫してください。

○一気に大量飲みするものではない

 飲み物による水分補給は、少しずつこまめに行うのがコツです。一気にたくさんの量を飲みすぎるとお腹がいっぱいになってしまい、食欲が湧かないこともあります。同時に、胃腸に負担がかかり、水分をうまく補給できません。

 目安としては、コップ1杯(200ミリリットル)を、起床時・入浴前・就寝前に加えて1時間半~2時間おきに飲むことをおすすめします。外出時はペットボトルやマイボトルなどで飲み物を持ち歩き、のどが渇く前に少しずつ、こまめに飲みましょう。

○スポーツドリンクは常飲するものではない

 スポーツドリンクには汗で失うミネラルや電解質が入っているので、運動などで大量に汗をかいたときの水分補給にはおすすめですが、日常生活において常飲するものではありません。とくに、糖質量に注意が必要です。飲む場合は水で薄めると良いでしょう。

 経口補水液も同様です。食事に加えて摂取すると、塩分や糖分の過剰摂取を招きます。その結果、水分補給のつもりが、血糖値の上昇や塩分過多で血圧上昇のリスクを高めてしまい、逆効果です。