飲食店の「皿の指紋」が気になります…「クレーマー」にならない伝え方はありますか?
飲食店でのクレームの言い方や損害賠償の可能性について、日本労働組合総連合会の調査結果をもとに解説。
クレームを言う際のポイントや注意点、損害賠償の条件などを詳細に説明。
クレームが店舗の改善につながる重要性や、冷静かつ丁寧なコミュニケーションがカスタマーハラスメント回避につながることを強調。
飲食店で食事をしているときに衛生面で気になることがあった際、クレームを言うべきか迷われた経験がある方もいるでしょう。
「このくらいのことでクレームを言う人はあまりいないかもしれない」「おおごとになるのも困る」など、いろいろと考えることもあると思います。
本記事では、クレームを言ったことがある人の割合や店員への伝え方のポイントとともに、損害賠償を請求できる可能性についてもご紹介します。
日本労働組合総連合会が実施した「消費者行動に関する実態調査」によると、サービスや商品に対する苦情・クレームを「言ったことがある」と答えた人の割合は39.2%ということでした。
そのうち、50代までは年齢が上がるにつれて苦情やクレームを言ったことがある人の割合も高くなることが分かりました。苦情やクレームの内容については、表1の通りです。
表1
※連合調べ
※日本労働組合総連合会「消費者行動に関する実態調査」を基に筆者作成
今回の事例のように「皿の指紋が気になる」というケースは「食器が汚れている」の9.7%に含まれると考えられます。同様のクレームが一定数あるようなので、気になるようであればお店の人に伝えるとよいでしょう。
クレームは「この状況を改善してほしい」という自分の希望を相手に伝えるためのものです。
感情的になって不平・不満をぶつけるだけではクレームではなく単なる「苦情」になってしまい、相手にきちんと受け入れてもらえなかったり、相手との関係が悪化したりする可能性があります。冷静に今の状況を伝えるとともに、相手に求めることを明確に述べるようにしましょう。
食器の汚れが原因で食中毒などの健康被害につながった場合などは、損害賠償の対象となる可能性があります。ただし、症状の原因が食器の汚れにあることを立証できなければなりません。
今回の事例でいうと皿についていた指紋が健康被害の原因となったことが確認できなければ、損害賠償の請求が認められることは難しいでしょう。
損害賠償は難しくても、クレームの内容が正当であると判断されれば店舗の衛生状況の改善につながるでしょう。飲食店によっては、食べたものの交換や返金といった対応を取るケースもあります。
ただ、過度な要求や長時間のクレームは「カスタマーハラスメント」と見なされる場合もあります。そのため、あくまで冷静に、丁寧に伝えることが重要といえます。