能登地震の液状化被害 震度5弱の地域でも拡大 砂丘多い日本海側、宅地被害は1万5千件

AI要約

元日の能登半島地震では、震源から遠く離れた震度5弱の地域でも地面から水や砂が噴き出す「液状化現象」の被害が相次いだ。

道路がめくれ上がり、一帯の家屋が傾く-。

自治体の支援策が整い、復旧に向けて動き始めるも、被害は大きく、長期間の避難が必要になっている。

日本海側特有の地形的要因が被害を拡大させた理由や、地震の揺れが被害に与えた影響が示唆されている。

能登地震の液状化被害 震度5弱の地域でも拡大 砂丘多い日本海側、宅地被害は1万5千件

元日の能登半島地震では、震源から遠く離れた震度5弱の地域でも地面から水や砂が噴き出す「液状化現象」の被害が相次いだ。道路がめくれ上がり、一帯の家屋が傾く-。砂丘が多い日本海側の地形的要因もあって被害は拡大し、宅地被害は推定で約1万5千件に及ぶ。地震から7月1日で半年。自治体の支援策がようやく整い、復旧に向かおうとしている。

「インフラがずたずたに引き裂かれ、長い避難を強いられる被害だ」

こう強調するのは、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の先名(せんな)重樹主任専門研究員。液状化が起きた現地へ何度も赴き、自宅で暮らせなくなった住民たちの窮状を目の当たりにした。

5月末までに被害を確認したのは石川、富山、新潟、福井4県の34市町村。被害状況を250メートル四方の区画で整理すると、2114カ所に及んだ。東日本大震災の8680カ所に次ぐ被害規模で、熊本地震の1890カ所を上回る。

震央(震源真上の地点)から百数十キロ離れた地域でも被害は広がった。広範囲で地盤が水平方向にずれる「側方流動」が発生した石川県内灘町を含む同県中部のほか、富山県西部、新潟市での被害が目立った。

国土交通省の推定では、宅地被害は石川県約3500件、富山県約2千件、新潟県約9500件。液状化の被害について、先名氏は「大きな被害が震度5弱の地域でも発生したことは想定外だった」と指摘する。

■揺れた時間が影響か 熊本地震の4倍

液状化は、地震の揺れで土砂の粒子が水と分離して沈むことで発生。地盤沈下やマンホールの浮上、建物が傾く「不同沈下」などが起こる。これまで震度5強以上の揺れで起こりやすいとされてきたが、先名氏の今回の調査では、推定震度5弱で発生したエリアの割合は16%。東日本大震災の4%をはるかに上回る。

日本海側は冬場の強い季節風の影響で海岸の砂が陸側に運ばれ、砂丘が形成されやすい。石川県内灘町をはじめ各地の砂丘後背地で被害が目立ち、かつて川が流れていた旧河道や砂洲など被害地域は、均一な粒子の砂地盤▽地下水位が高い-という液状化の起きやすい条件がそろっていた。

液状化を起こす強い揺れの時間は、能登半島地震では約40秒と熊本地震の4倍だった。先名氏は「地震動が長かったことが被害拡大につながった可能性がある」とする。