旧統一教会に献金1億円超の元信者、教団と「裁判起こさず」の念書…最高裁で有効性見直しの可能性

AI要約

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者が違法な勧誘で献金させられた訴訟に関する上告審弁論が行われた。元信者の長女が教団側に6500万円の損害賠償を求めており、判決は7月11日に予定されている。

元信者は、2004~10年にかけて少なくとも1億円超を献金し、その後認知症を発症。教団と念書を交わし裁判を起こさない合意が成立したが、原告側はこの合意が不当で無効であると主張している。

訴訟では、元信者の女性が高齢で認知症を発症しており、教団からの影響を受けて正当な判断ができなかったと主張されている。一方、教団側は女性が自ら意思を持って献金したと主張している。判決では、念書の有効性を巡る議論が焦点となっている。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者が違法な勧誘で献金させられたとして、元信者の長女が教団側に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論が10日、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)であった。元信者が教団側と結んだ「裁判を起こさない」とする念書について、原告側は「不当に作成され、無効」と主張。教団側が「違法性を裏付ける証拠は皆無だ」と反論して結審した。

 判決は7月11日。最高裁の弁論は2審の結論を変える際に必要な手続きで、念書の有効性を認めて原告側の訴えを却下した1審・東京地裁と2審・東京高裁判決が見直される可能性がある。

 1、2審判決によると、元信者の女性(2021年7月に死亡)は2004~10年の間に、信者の勧誘を受けて少なくとも1億円超を教団に献金した。15年11月、公証役場で「返金や損害賠償を求める裁判を一切起こさない」との念書に署名・押印したが、約7か月後に認知症と診断された。

 この日の弁論で原告側は、「高齢で認知症を発症していた女性には十分な判断能力がなく、教団の強い心理的影響で署名を拒否できなかった」と強調。長女は「念書を盾に教団には返金請求に応じる姿勢が全くない。実態を明かし、被害を回復させてください」と述べた。

 一方、教団側は「念書作成後に女性は『自分の意思で献金した』と証言しており、有効だ」と主張。「不安をあおるような違法な勧誘も行っていない」と反論した。