神戸・北区高2刺殺事件 元少年と両親に1億4900万円の損害賠償求め、遺族が提訴 地裁

AI要約

神戸市北区で2010年、高校2年の堤将太さんが刺殺された事件に関連し、堤さんの家族が殺人罪に問われた男及び男の両親に約1億4900万円の損害賠償を求め神戸地裁に提訴した。

男は堤さんをナイフで刺殺し、約11年後に逮捕されたが、裁判で殺意を否認し、心神耗弱を主張。一審では懲役18年の判決を受けた。

遺族は、男の犯行を防げたはずの監督義務を怠ったとし、慰謝料や逸失利益に加え、精神的苦痛を訴えた。

 神戸市北区で2010年、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、堤さんの家族5人が、殺人罪に問われ一審で懲役18年の判決を受けた当時17歳の男(31)=控訴中=と両親に約1億4900万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴したことが分かった。提訴は3月1日付。

 訴状などによると、男は10年10月4日夜、同市北区の路上で、堤さんを折り畳み式ナイフで突き刺すなどして殺害し、約11年後の21年8月に逮捕された。昨年、神戸地裁であった裁判員裁判の公判で殺意を否認し、弁護側は判断能力などが低下した心神耗弱の状態だったと主張。懲役18年の判決後、控訴している。

 一審の判決では、男の犯行動機について、孤独感や元交際相手への怒りを募らせて発散できずにいたところ、たまたま見かけた堤さんを「不良」とみなし、嫌悪感を抱いて犯行を決意したとされた。

 遺族側は訴えで、事件当時に男と同居していた母親や他県から連絡を取っていた父親が監督義務を怠ったと指摘。「男の問題行動や性格傾向、生活状況に応じて求められる監督、指導を尽くしていれば犯行を防げた」と主張し、堤さんの死亡との間に相当の因果関係があるとしていた。

 遺族は損害について、葬儀費用や慰謝料、逸失利益などに加え、事件後の執拗なマスコミ取材やインターネット上での誹謗中傷など二次被害による精神的苦痛を受けたことも訴える。