リタイア後も年金を受給しながら働きたい!【在職老齢年金】年金が「カットされる・カットされない」ケースとは?
シニア世代の働き方が変化している中で、在職老齢年金制度の概要と注意点について解説されています。
在職老齢年金の計算式や2024年度の支給停止調整額の引き上げによる影響について詳細に述べられています。
具体的な事例を通じて、在職老齢年金で年金がカットされるケースやされないケースについて紹介されています。
人生100年時代のいま、シニア世代の「仕事」に対する意識が変わりつつあります。
日本老年学会・日本老年医学会「「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ」報告書」によれば、現在の高齢者は10~20年前に比べ、身体機能が5~10年若返っているそうです。
実際に周りから聞こえる話の中にも、継続雇用や地域活動など何らかの形で社会との関わりを持つシニア層が増えているように感じます。
しかし、現行の年金制度には、就労する60歳以上の厚生年金受給者が一定以上の賃金を得ると年金額を支給停止する「在職老齢年金制度」があることをご存知でしょうか。
将来の受給見込み額が減少傾向にあり、老後資産の積み増しのため「長く働くこと」を選択せざるを得ない状況も考えられる中、デメリットとなりうる在職老齢年金制度。
今回はその概要と注意点について確認していきましょう。
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在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受給しながら働いて収入を得る場合に、一定額を超えると年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
【在職老齢年金が適用されるケース】
・老齢厚生年金を受給する70歳未満の人が厚生年金保険に加入して働く場合
・70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所で働く場合
では、働いてどのくらいの収入を得た場合に年金が支給停止となるのか。確認していきましょう。
●在職老齢年金の計算式
・基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷2
上記は在職老齢年金の計算式です。
老齢厚生年金の「基本月額」と、給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となることがわかります。
・基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
・総報酬月額相当額:とは、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割ったものを加えた額
基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額を超える場合に、年金が支給停止となるのです。
では、この「支給停止調整額」はいくらなのか。2024年度の支給停止調整額は、50万円です。
●【2024年度】在職老齢年金の支給停止調整額は「50万円」に引き上げ
2024年度の支給停止調整額は50万円。前年度の48万円から2万円引き上げとなりました。
支給停止調整額の引き上げにより、年金が支給停止となるボーダーラインが高くなります。老齢厚生年金を受給しながら働きたいシニアにとって良い方向に改定されました。
次章では、より具体的にイメージできるよう「在職老齢年金で年金がカットされるケース・されないケース」を見ていきましょう。