「国民年金」追納すべき? 年金減少時代の今、やっておくべき正解は?

AI要約

老後のお金についての不安は多くの人に共通する悩みです。公的年金だけでは生活が厳しい現実を考える必要があります。

将来の公的年金額を正確に知ることは難しいが、40年間働いて満額をもらえる場合の金額は月額68,000円。これだけでは生活が成り立たない状況である。

支給開始年齢が引き上げられる可能性や支給額の変動など、公的年金に関する制度は今後も変化が予想される。

「国民年金」追納すべき? 年金減少時代の今、やっておくべき正解は?

数あるお金の不安の中でも、もっとも多くの人に共通する悩みと言っても過言ではないのが「老後のお金」。私たちが老後を迎える頃には、公的年金だけで生活を成り立たせるのは夢のまた夢。「年金生活」という言葉はもはや存在すらしていないかもしれません。

とはいっても、生きている限り受け取り続けることができる公的年金は、老後の生活を支える重要な存在です。そこで今回は、少しでも公的年金を増やすために今できることについて一緒に考えていきましょう。

自分の場合、将来いくらの公的年金がもらえるのか――これは、多くの人(もちろん私もそのひとりです!)が気になるところではありますが、正確な金額を知ることは不可能です。

なぜなら、公的年金の金額は物価と賃金の変動に応じて毎年、改定がされるから。加えて、これから先、リタイアを迎えるまでに何年働き、どのような社会保険に加入し、いくらの年金保険料を納めるのかによっても金額が変わるからです。

参考までに2024年4月からの年金支給額を見てみると、国民年金に40年間加入した場合の満額で、月額68,000円。う~ん、これでは到底、生活資金を賄えそうにはありません。ちなみに、日本年金機構の試算では、平均的な収入(賞与を含んだ月額換算で43万9,000円)で40年間働いた場合に夫婦2人で受け取れる公的年金は、月額230,483円となっています。

この金額であれば、住宅ローンを完済していて、贅沢をしない生活をするのであれば生活できなくはないかも……と思う人もいるかもしれませんが、家電や携帯電話、車の買い替え、旅行、冠婚葬祭、孫へのお小遣い、固定資産税などイレギュラーな支出を含めると、決して余裕ある金額とは言えなそうです。

加えて、今後も平均寿命が伸びていくことを踏まえると、さらに支給開始年齢が引き上げられる可能性も小さくありません。

実際、会社員や公務員が加入する厚生年金の支給開始年齢は、制度がスタートした当初は55歳でしたが、平均寿命の伸びに伴ってこれまで何度か改正が行われ、少しずつ引き上げられてきました。現在も引き上げの真っ最中で、男性は2025年度、女性は5年遅れの2030年度に全員が65歳になります。

また、公的年金には決められた支給開始年齢(原則65歳)よりも早く支給を開始する「繰上げ支給」、遅く支給を開始する「繰下げ支給」という制度があります。繰上げ支給の場合には本来の年金額から減額され、繰下げ支給の場合には増額されるのですが、この繰下げ支給ができる年齢の上限が、2022年4月から70歳から75歳へと引き上げになりました。仮に支給開始年齢を65歳から75歳に10年間遅らせると、受け取れる月額金額は本来の金額からなんと84%も増えます。こうした制度変更も、「支給開始年齢をできるだけ遅くしたい」という政府の気持ちの現れといえるのではないでしょうか。