EV車載電池用診断に商機 電知 向山大吉CEO 埼玉活躍企業

AI要約

電気自動車(EV)の車載電池用の独自の診断サービスを展開する電知(本庄市)が、非破壊診断技術を活用して電池の安全性と寿命を評価し、サーキュラーエコノミーの実現に注力している。

創業のきっかけは、電池の安全性に関わる社会問題を解決するため、弟とともに起業。企業理念は電池の価値を最大限に引き出し、サーキュラーエコノミーの構築を目指している。

現在注力する事業はEV車載電池用診断サービスであり、海外展開と市場ニーズへの迅速な対応が課題。苦労はビジネスモデルの検証であり、順応し成長している。

EV車載電池用診断に商機 電知 向山大吉CEO 埼玉活躍企業

電気自動車(EV)の車載電池用の独自の診断サービスを行う電知(本庄市)。向山大吉最高経営責任者(CEO、48)は、非破壊診断技術で電池の安全性などを正確に診断し、サーキュラーエコノミー(循環経済)の問題を解決したいと力が入る。

--創業のきっかけは

「私が大学で『電池評価』の研究を行っていて、火災などで社会問題化された電池の安全性に関わる問題を解決すべく、ITエンジニアである弟の向山公一とともに起業しました。企業理念である『電池の価値を解き放つ』は、非破壊診断技術を駆使して電池の安全性と寿命を正確に評価することで、製造から運用、リユースといった電池のサーキュラーエコノミーの各段階における問題を解決します。資源の有効活用を図るだけでなく、環境保護と経済発展の両立を追求し、電池の潜在的な価値を最大限に引き出すことを意図しています」

--現在注力している事業内容や課題は

「現段階で上市間近なサービスは、EV車載電池用診断サービス『denchi.ai』です。これは、EVに標準的に搭載された急速充電ポート(日本ではCHAdeMO規格)に当社の装置を挿すだけで、1分程度で電池の非破壊解析ができ、詳細な安全性につながるデータを取得できます。主に、オークション会場などの中古車査定の現場で使われることを想定しています。課題としては、日本で培った診断技術を、EV市場の拡大が著しい海外へ展開し、市場ニーズに迅速に対応することです」

--今に至るご苦労は

「起業後、令和4年には埼玉県の次世代ものづくり補助金を受け、弟とともに技術開発に注力しました。この期間は試行錯誤を楽しみながら進め、成功の喜びを共有しました。翌年には、試作開発前の検証であるPOCを含めた顧客獲得に向けたビジネスモデルの仮説検証に取り組みましたが、その場での評判が良くても、最終契約に至るまでの難しさに直面しました。今、ようやくその課題に順応してきたところです」

--新たに取り組みたい事業や中長期の目標は