港区「ちぃばす」に乗って小旅行! 9つのルートが織りなす都心の散歩ルートとは
筆者が「町中華探検隊」の副長として活動し、最近は「町バス」を紹介している。
町バスとして気に入っている「ちぃばす」について、運行経緯や魅力を述べる。
ちぃばすはコミュニティーバスとして地域の人々に愛され、便利である。
筆者(下関マグロ、フリーライター)は、ライター、カメラマン、漫画家などから成る「町中華探検隊」の副長である。散歩中によく見かける中華料理店を「町中華」と表して原稿を書き始めたのは2014年のことだ。
この言葉は瞬く間に世間に浸透した。その後、調子に乗って、ナポリタンを出す店を「町パスタ」とか、そば屋を「町そば」などと表記した原稿も書いたが、それらはまるで定着しなかった。
そこで、最近は食から離れて、コミュニティーバスを
「町バス」
と呼ぶようにした。厳密にいえば、「町バス」より「街バス」がふさわしいかもしれないが。
コミュニティーバスとは、路線バスが走っていない地域を、自治体がバス事業者に委託して運行させているバスで、それぞれの自治体に特色があり、とても興味深い。
前述の影響もあり、筆者はよく「いい町中華を教えてください」と聞かれるが、「いい町バス」について聞かれたことはない。だから、今回は聞かれていないが、筆者が気に入っている町バスを紹介したい。それは、港区のコミュニティーバス「ちぃばす」だ。
ちぃばすは、筆者が初めて乗った「町バス」である。長年、散歩をテーマに記事を書いてきた。港区には楽しい散歩コースがたくさんある。ちぃばすは、その散歩コースに沿って走っている。バス停に沿って歩いてもいいし、特に猛暑や雨の日には、バスに乗って散歩するのもいい。
ちぃばすは歴史が古く、2004(平成16)年から運行されている。ちぃばすという名前は、
・小(ちい)さなバス
・地域(ちいき)の人々に愛されるバス
という意味があるそうだ。とてもすてきで、コミュニティーバスにぴったりの名前だ。ちぃばすは「ちいばす」と読むが、「い」は小文字で表記されている。この点も気に入っている。
筆者がちぃばすを初めて見かけたのは、赤坂から青山に向かう246号線を歩いているときだった。
「かわいいバスが走っているな」
と思って見ていたら、目の前のバス停に止まった。そのときは乗らなかったが、ルートを調べて、今度乗ってみようと思った。
日は流れて、赤坂かいわいを散歩しているとき、ちぃばすを再度見かけた。特にどこに行くか考えずに取りあえず乗ってみたところ、港区をぐるりとまわったので、六本木ヒルズで降りた記憶がある。とても便利だと思い、それ以来愛用している。
そもそもちぃばすが運行されるようになったのは、都営大江戸線が開通し(2000年12月全線開通)、都営バスが廃止されて不便になったことがきっかけだった。新宿方面から新橋方面に向かう都営バスに当時乗ったが、麻布十番あたりを走っているときに、隣に座っていた初老の男性が
「地下鉄ができるから、このバスも廃止されるんだ」
と声をかけてきたことを思い出す。
「便利になっていいですね」
と返すと、
「しかし、バスがなくなるのは困るね」
といっていたのが印象的だった。当時は知らなかったが、自分自身が高齢(1958年生まれ)になってみて、鉄道よりも道路を走るバスの方が便利だと思うようになった。