メスター総裁、FRBの意思疎通にはなお改善の余地-政策巡り

AI要約

米金融当局はメスター総裁を中心にしたコミュニケーション改革を進めている

メスター総裁は政策の説明を重視し、国民との理解を深めるために努力している

コミュニケーション戦略の再考や声明内容の拡充が重要視されている

メスター総裁、FRBの意思疎通にはなお改善の余地-政策巡り

(ブルームバーグ): 米金融当局はここ数十年にわたり、国民とのコミュニケーションの方法を変革させてきたが、その取り組みの先頭に立つのがクリーブランド連銀のメスター総裁だ。総裁の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合への出席は合計200回を超える。最初は傍聴するスタッフとして、そして2014年以降は政策決定者の一人として議論に加わってきた。

そのメスター総裁は6月末に退任するが、金融当局のコミュニケーションにはなお改善の余地があると指摘する。

ブルームバーグ・ニュースに対し総裁は、情勢が当局者の予想通りに展開しなかった場合にどう行動するかについて説明を増やせば、政策決定に向けた当局のアプローチを国民にさらに良く理解してもらう上で一助になるとの見解を示した。

14日のインタビューでメスター総裁は、「私は常に、政策決定の論拠を説明することの重要性を主張してきた。つまり、われわれが現在のデータをどう読み解いているか、経済の行方についてどう考えているかということだ」としつつ、「しかし、この点についてはリスクもある。経済がどこに向かっているのか、そしてそれに対応する政策については別に複数のシナリオがあるかもしれない」と述べた。

さまざまな異なる経済の展開への当局の対応方法を国民に理解してもらうことは、情勢が不透明な時期に期待を管理し、ボラティリティーを最小限に抑える上で極めて重要だと、メスター氏は語る。昨年に政策金利を20年ぶり高水準に引き上げた後、引き下げ開始の準備を進めている現在においては、これは特に重要かもしれない。

メスター総裁はここ数年、そうした認識に沿ったコミュニケーション戦略を説明してきた。5月の講演では、FOMC会合後に発表する声明の内容拡充などを提唱している。声明の長さは過去10年で約60%短くなったと、総裁は指摘した。

簡潔であるのは良いことだが、語数がより限定されれば政策当局者としては文言変更の検討が特に難しくなると、メスター総裁は指摘。市場が一語一句を細かく分析するためだという。