韓国発「相手の表情などから気持ちを察する」コミュニケーション能力「ヌンチ」が世界で話題に?

AI要約

韓国のコミュニケーションスキル「ヌンチ」を使い、相手の感情を察することの重要性。

「ヌンチ」を身につけるための方法や、瞑想を通じたスキル向上の重要性。

ただし、ヌンチは対等な関係において有益であり、ヒエラルキー社会においては若手や平社員が抑圧される可能性に注意が必要。

韓国発「相手の表情などから気持ちを察する」コミュニケーション能力「ヌンチ」が世界で話題に?

韓国でよく知られているコミュニケーションスキルを使えば他人の気持ちを察することができる。感情的知性を高めて相手とのコミュニケーションを改善するにはどうしたらいいだろう。

あなたはヌンチが早い? それとも遅い? 韓国で「ヌンチが早い」とは察しが良いこと。逆に「遅い」場合はもちろん、やや鈍い人を指す。その場の空気を読んで相手の表情などから気持ちを察することを意味する「ヌンチ」は韓国で5000年近く前から存在している。この直感的な非言語コミュニケーション能力が身につけば、相手を傷つけたりムッとさせたりせずに済む。韓国社会では相手の自尊心を傷つけることなく信頼と調和ときずなを深める「ヌンチ」が重視されてきた。

もともと第六感が鋭い人でなくてもヌンチをスキルとして習得することは可能だと説くのは社会心理学博士号を持つフランス人のデボラ・ロマン・ドラクールだ。ジミン・リーとの共著、『Nunchi : connectez-vous aux autres(ヌンチで他人とつながろう)』(Eyrolles刊)があるデボラ・ロマン・ドラクールは、「共感力を高めるための第一歩としてまずは問題意識を持つことです」と言う。次にやるべきは相手を注意深く観察すること。社会に適応するために相手がかぶっている仮面の裏に、どんな真の姿が隠れているのかを探るのだ。「行間を読むようなものです。言葉よりも無意識の動作から読み取れることも多いでしょう。ヌンチで相手の気持ちがわかれば、対応の仕方もわかります」と言う。相手の様子だけでなく、その周囲にも目を配ろう。たとえば同僚のデスク周りを見れば相手がどんな状態なのか、話しかけて聞いてもらえそうか判断できそうだ。

会話を通じて相手の様子を探るにはそれなりの観察眼が必要だ。スキル上達のための王道は瞑想を定期的におこなうこと。瞑想を重ねていくうちに偏見のないクリアなまなざしで安定的に観察できるようになり、ヌンチのスキルが上がるだろう。瞑想はまた、自分を客観的に見つめる助けにもなる。真のヌンチにはそうした効用もあるのだ。ただし「ヌンチが有益なのは対等な関係であることが前提です。支配と服従の関係においては相手を従わせるためのツールになりかねません」とデボラ・ロマン・ドラクールは懸念する。特にアジアのヒエラルキー社会ではそうなりがちだ。「アジアでは伝統的に若い社員や平社員が先輩や上司に気を配るべきとみなされることが多いのです」