日立CFO、数千億円の大型M&Aに意欲-低収益事業の売却も継続

AI要約

日立製作所が再び大型の合併・買収に乗り出す可能性を示唆。資産の入れ替えを積極的に進める方針。

過去の大型M&Aに続き、今後も数千億円規模のM&Aを継続。デジタル分野での事業拡大が焦点となる。

日立は構造改革を進め、ポートフォリオの再編を継続。リスクを精査し、規律ある成長投資を目指す。

日立CFO、数千億円の大型M&Aに意欲-低収益事業の売却も継続

(ブルームバーグ): 日立製作所の加藤知巳最高財務責任者(CFO)は3日のインタビューで、同社が再び大型の合併・買収(M&A)に乗り出す可能性があると明らかにした。また、利益率の低い事業の売却を含め資産の入れ替えを今後も積極的に進める考えだ。

加藤CFOはここ最近は行っていなかった1兆円規模の大型M&Aを来期(2026年3月期)から始まる次期中期経営計画の期間中はやる可能性があるとした上で、「いずれにしても数千億円ぐらいのM&Aというのは今後もやっていく」と述べた。注力するデジタルの分野では約1兆円で買収したグローバルロジックだけでは足りない部分を補うため、クラウドサービスやデータマネジメント関連のM&Aが考えられるとした。

08年のリーマン・ショックで巨額赤字に陥った日立はグループ企業の再編を進める一方、20年には7400億円でスイスABBのパワーグリッド事業を取得、21年にグローバルロジックを買収するなど大型案件もこなしながら選択と集中を進めてきた。構造改革に伴う収益改善などを受け日立の時価総額は、約17兆円まで上昇し国内で上位5位以内に入るようになったが、「ポートフォリオの再編については、これも終わりはない」として変革を続ける構えだ。

ただ、加藤CFOは「M&Aは非常にリスクが高い投資」だとも述べ、リスクを精査することで失敗する確率を下げるなど、規律ある成長投資をやっていきたいとする。

日立は長年にわたるグループ再編の結果、かつて20社以上あった上場子会社は22年度にゼロとなったものの、一部の上場企業が持ち分法適用会社として残っている。加藤CFOはマイノリティー出資でも一定の意味はあるとした上で、協業関係は株式を保有していなくても可能だとして、持ち分法適用会社の株を「未来永劫(えいごう)われわれが持ち続けるかというと、それはたぶんないと思う」と述べた。

持ち分を40%まで売却した自動車部品会社日立Astemo(アステモ)について、加藤CFOは新規株式公開(IPO)を目指しているが、時期は依然未定だとした。IPOの過程では「われわれの持ち分が当然下がっていく」とも述べ、一部を売却していく考えを示した。