為替トレーダー、夏季の低ボラティリティーに備え-FOMC結果受け

AI要約

投資家は中央銀行の金利変更による為替相場のボラティリティー増加を期待していたが、米CPIの軟化などで市場は安定。

夏季に向かう中、為替相場の狭いレンジが続き、投資家は利益の上がる機会に恵まれない状況。

米金融当局の利下げ見通しの変更により、相場がレンジ内で推移し、ボラティリティーが緩やかになるとの見方が広がる。

(ブルームバーグ): 各国・地域の中央銀行の金利変更によって、向こう数カ月に為替相場のボラティリティーが大幅に高まることを期待していた投資家は失望することになりそうだと、オプショントレーダーはみている。

12日に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が予想よりも弱い数字となったのを受け、オーストラリア・ドルやユーロ、円が1%前後上昇した際には、為替市場が乱調となる兆候があった。

しかし、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局者が、年内に予想する利下げ回数を中央値で1回に減らしたことでボラティリティーは抑えられた。JPモルガン・グローバルFXボラティリティー指数はフランスでの選挙を巡る懸念で14日に上昇したものの、その前の2営業日には低下していた。

投資家は現在、北半球が夏季に向かうのに当たり為替相場が狭いレンジ内で推移し、利益の上がる取引機会にほとんど恵まれない可能性に直面している。

ノムラ・インターナショナルの外国為替オプション取引グローバル責任者ルチル・シャルマ氏(ロンドン在勤)は、米金融当局の判断の結果、「市場はデータ次第の状態となり、今夏に早急に利下げが行われる可能性は基本的にゼロ近辺に減っている」とし、「夏の数カ月に相場が最近のレンジを突破する公算は小さい」との見方を示した。

その上で、こうした見方をターゲットとした取引戦略はボラティリティーを短期的に「有意に」圧迫する可能性があると指摘した。

米金融当局は11、12両日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、広く予想されていた通り主要政策金利を5.25-5.5ポイントに据え置く一方、当局者は金利予測分布図(ドット・プロット)で年内の0.25ポイント利下げの回数を1回とする予想を中央値で示した。3月の前回予測では計3回の利下げを見込んでいた。

シティグループのアジア太平洋外為取引責任者、ネーサン・スワミ氏(シンガポール在勤)は「この発表で、中短期的にボラティリティーは抑制される公算が大きい」と分析。「米金融当局は将来の金利の道筋についての不確実性を多少取り除いた。全般的にインプライドボラティリティー(IV、予想変動率)の低下を意味するだろう」と解説した。