ドルに強気なポジション、FOMC会合前に膨らむ-CFTCデータ

AI要約

米金融当局が金利を据え置いたため、ドルは上昇基調を維持。 FOMC会合に向けてトレーダーがポジションを設定。

ドルの強気ポジションが増加し、トレーダーはドット・プロット変更による利下げ見通しで利益を得ている。

米金融政策が他の主要中央銀行と乖離し、欧州やカナダの利下げサイクルに対抗してドルが支援されている。

(ブルームバーグ): 米金融当局の金利据え置き決定を受け、ドルは週間ベースで上昇基調を維持した。11、12両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合に備えてトレーダーがポジション設定していた通りの展開だ。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は14日の取引終了時点で4週連続の上昇となり、2月以来の長期上昇を記録した。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局は主要政策金利を二十数年ぶりの高水準に維持するとともに、当局者は最新の金利予測分布図(ドット・プロット)で年内の利下げ回数を従来の3回から1回だけとする見通し(中央値)を示した。同指数は年初来の最高をわずかに下回る水準にある。

これはドル上昇で利益を得るポジションを11日までの1週間に積み上げてきた投機的なトレーダーにとって、歓迎すべき展開だ。ブルームバーグが集計した米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、こうしたトレーダーはドルに強気なポジションを5月から今月初めにかけて減らしてきたが、11日までの1週間には60億ドル(約9400億円)余り積み増した。強気ポジションの積み増しとしては4月終盤以来の規模となる。

マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「ドルは今週示されたドット・プロット変更の恩恵を受けている」とし、年内の0.25ポイント利下げを1回だけとする当局者の見通しで、「米国と他のG10諸国の大多数との金利差が広がり、ドルの追い風になる」と指摘した。

ドル高、ECBや主要中銀の利下げ阻む危険-為替変動や輸入インフレ

他の主要国の中央銀行の政策からは乖離(かいり)する米金融当局の政策はこの数週間、ドルの支援しており、欧州中央銀行(ECB)とカナダ銀行が緩和サイクルを開始して以降は特にその傾向が強まっている。フランスのマクロン大統領が国民議会(下院)解散・総選挙の決定に踏み切ったこともユーロ相場を圧迫し、ドルやスイス・フランなどの安全通貨を押し上げている。