ギリシャ、現金をバラマキまくる? 少子化対策に年間1580億円以上 さらに現金給付と減税を提案

AI要約

ギリシャ政府は、出生率上昇を支援するため追加の育児給付金や減税などの措置を発表した。

しかし、少子化の背景には経済的課題や若者の意識の変化、移民問題などがあり、2022年には出生率が過去最低を記録。

専門家らは少子化対策計画の効果に疑問を呈し、教育や医療制度の改善、生殖補助医療へのインセンティブなども必要と指摘している。

ギリシャ、現金をバラマキまくる?  少子化対策に年間1580億円以上 さらに現金給付と減税を提案

ギリシャ政府は、追加の育児給付金や新しく親になる人への減税を通じて、出生率上昇を支援する一連の措置を今月9月に発表した。

ギリシャは欧州諸国のなかで最も出生率が低い国のひとつで、背景には、高水準の失業率など経済的な課題がある。ほかにも、少子化の要因として、若者の意識の変化や国外への流出、移民問題などが挙げられている。

首相は「この問題は国家的脅威であり、年金システムに対する『時限爆弾』だ」と、公に語っており、すでにギリシャは、出産手当金やベビー用品の手当などの奨励金を出すなど、少子化対策に年間約10億ユーロ(約1583億円)を費やしている。

にもかかわらず、2022年の出生数は過去最低を記録した。

2023年は2%の成長がみられたが、依然として課題は解決されていない。高い失業率やインフレなどの問題は、家族を持ち、家族を増やすという決定に大きな影響を与え続けている。

このような状況のなかで発表された、この新たな措置は、出生率を上げるための政府計画の一環で、新たな措置には、前述の追加の育児給付金や新しく親になる人への減税に加えて、2025年からの最低賃金引き上げ、年金増額、社会拠出金削減なども含まれている。

しかし、ロイターによれば、人口動態の専門家らは「計画の有効性を疑問視している」という。

というのも、出生率の低下は欧州各国にとって問題となっており、フランスやイタリア、ノルウェー、スペインなども少子化対策に数10億ユーロ(1580億円以上)を費やしたが、ほとんど効果はみられていないからだ。

政府関係者でさえも、少子化改善の道のりが長いことを認めており、サノス・ペトラリアス副財務大臣は記者団に対し、この問題が「給付金や現金バラマキだけで単純に解決できないのは当然だ」と語っている。

彼は会見で、「問題を解決するには、教育と医療制度の改善、収入の増加、ワークライフバランスの改善も必要だ」と主張した。

ギリシャの苦境は、社会的要因と経済的要因の組み合わせによって起こっている。

2009年のギリシャ危機を引き金に経済が低迷し、国は多額の債務と緊縮財政に陥り、国民たちの雇用の見通しが狭まった。それにより、多くの人たち、特に専門技術や知識のある人たちが、より良い機会を求めて海外へと流れた。

このギリシャの少子化対策の計画には、若者向けの手頃な価格の住宅や生殖補助医療への経済的インセンティブ、移民の労働への参加を促すことなども含まれている。

ただ、ギリシャの人口動態研究を牽引するバイロン・コッツァマニスは、これらの措置だけでは不十分との見解をロイターに語っており、有能な若者たちにギリシャに留まる動機を与えることと、ギリシャを離れた人々を呼び戻す対策も必要だと述べている。