朝鮮大学校生が北への〝修学旅行〟終え帰国 コロナ禍明け「第1陣」、高位幹部と面談も

AI要約

北朝鮮を訪れた朝鮮大学校の学生らが帰国し、金正恩の新たな対韓路線に関する講習を受けたとみられる。

学生らは笑顔で帰国し、北朝鮮の滞在中に祝賀集会や幹部との面談などを経験した。

朝鮮総連からの指示により、学生らは数千万円を北朝鮮に持ち込んだ可能性があり、今後も訪朝団が続く見込み。

朝鮮大学校生が北への〝修学旅行〟終え帰国 コロナ禍明け「第1陣」、高位幹部と面談も

8月下旬から北朝鮮を訪れていた朝鮮大学校(東京都小平市)の学生らによる訪朝団が21日、羽田空港に帰国した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は今年初め、これまでの対韓路線を変更し韓国との平和統一を放棄すると表明しており、学生らは今回の訪朝でこうした方針などに関する講習を受けたとみられる。

■笑顔で写真撮影

一行が乗った飛行機は21日午後10時ごろ、羽田空港に到着。税関検査などを終え、約1時間後に学生や引率担当者ら約50人が到着出口に姿を見せた。学生はいずれもTシャツやジャージーなどの軽装で、キャリーケースを持っていた。出迎えた関係者と抱き合ったり、笑顔で写真を撮影したりする様子も見られた。

8月26日に羽田から出国しており、約4週間の滞在。関係者によると、滞在中は9月初旬に首都平壌で開催された建国76年の祝賀集会などに出席した。また、金総書記が1月に示した、韓国を「第1の敵対国」として南北統一を放棄する新たな対韓路線や、今後の経済対策などに関し、関係者から講習を受けたという。

朝鮮労働党の高位の幹部との面談の場も設けられるなどしたとみられ、関係者は、「韓国籍の学生も多い中、混乱や不安が生じないよう、しかるべき立場の人間がしっかりと説明に当たったのではないか」とみる。

■数千万円持ち出しの情報も

北朝鮮は昨夏以降、新型コロナウイルス対策の国境封鎖措置を段階的に解除。金総書記は学生らに訪朝を認める特別許可を発出しており、今回の一団はそれに基づく第1陣だった。

関係者によると、訪朝団を巡っては、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)側が多額の金銭を北朝鮮に持参するよう学生らに指示。今回の第1陣では、合計で数千万円程度が北朝鮮に持ち込まれたとの情報がある。

今後、第2陣、3陣とグループ単位で出国を重ね、計約140人の学生が北朝鮮を訪れる予定で、金銭などの運び込みも続く可能性がある。

■具体的な講習内容、「分からない」

この日、出迎えに来ていた朝鮮大学校の教授を名乗る男性は、産経新聞の取材に、「親族らに渡す目的で、いくらか金銭を持ち込んだ学生はいたかもしれない」と説明した上で、数千万規模の多額の金銭の持ち込みは否定した。学生らの滞在中の訪問先や具体的な講習内容などについては、「これから学生に聞き取る。現状は分からない」と話した。