対中国は「対決」か「競争管理」か トランプ、ハリス両氏の政策 副大統領候補も影響か

AI要約

トランプ前大統領とハリス副大統領の対中政策の違いが注目されている。トランプ氏は対決色を強調する一方、ハリス氏は競争の管理を目指す。ハリス氏は同盟国との連携を重視し、安保面では中国の覇権主義に対抗。経済面では対中関税戦争に反対し、デリスキングを図りながら対中関係を維持する姿勢。

ハリス氏は外交経験に乏しく就任後ブリンケン国務長官と共に集中講義を受け、同盟・同志国との接触を重ねてきた。中国との対話は開かれており、気候変動対策などで協力を模索。安全保障では牽制策を取り、台湾を支援する姿勢も明確。

ただ、ハリス氏が大統領になった場合の具体的な対中政策は不透明。副大統領候補の親中派との関係や、未知の部分が多く、将来の展望に影響を与える可能性もある。

対中国は「対決」か「競争管理」か トランプ、ハリス両氏の政策 副大統領候補も影響か

11月の米大統領選に出馬する共和党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領の対中国政策が注目されている。両陣営とも中国を「最大のライバル」とみなすが、トランプ氏が対決色を打ち出しているのに対し、ハリス氏は副大統領として「競争の管理」を目指してきた。ハリス氏は同盟・同志国との連携を重視するが、単独での「ディール(取引)」を好むトランプ氏が返り咲いた場合には米中関係の先行きは予測が難しくなる。

■ハリス氏、安保で牽制も関税戦争に反対

ハリス氏は副大統領になるまで外交経験に乏しく、2021年1月の就任後しばらく、ブリンケン国務長官と毎週昼食をともにして〝集中講義〟を受けた。副大統領として19カ国以上を訪問し、岸田文雄首相を含む150人以上の政治家と会った。そのほとんどが同盟・同志国との交流だ。

顕著な例外が中国の習近平国家主席で、中国重視の姿勢がうかがえる。22年11月にタイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で短時間会談し、ハリス氏は「開かれた対話」を維持すると伝えた。気候変動対策で協力を模索する考えとみられている。

安全保障では、東・南シナ海での中国の覇権的行動を牽制(けんせい)してきた。APEC後に訪問したフィリピンで、米国は「違法かつ無責任な行動に対抗するため、同盟・同志国を結集する」と語った。

台湾の頼清徳総統とは、頼氏が副総統だった22年1月、中米ホンジュラスの大統領就任式で立ち話をし、中国をいらだたせた。同年9月、横須賀の在日米軍の艦上で、米国は「台湾の自衛を支援する」と明言した。

上院議員時代には、19年と20年にそれぞれ施行された香港人権民主主義法とウイグル人権政策法の共同提案者を務め、人権侵害に加担した中国当局者に対する米政府の制裁発動を支持した。

経済関係では、トランプ前政権が仕掛けた対中関税戦争に反対し、「欧州やアジアの同盟国と連携して、中国の問題のある貿易慣行に対決すべきだ」と唱えた。デリスキング(リスク低減)を図りつつ、対中関係を維持する考え方とされる。

ただ、ハリス氏が大統領になって中国とどう向き合うかには未知の部分も多い。副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事は「親中派」との見方もあり、ハリス氏の対中方針に微妙な影響を与える可能性がある。