日本株は秋に再び暴落か?それでも26年前半には5万円に到達する理由…エミン・ユルマズ氏が解説

AI要約

日経平均株価は8月初旬の大暴落を経て、8月16日に3万8000円台を回復した。

株式市場は今後も不透明で、秋には相場が荒れる可能性が高い。

エミン・ユルマズ氏は中長期で日本株が上昇し、2026年前半には5万円に到達すると予測している。

 8月初旬に大暴落した日経平均株価は、8月16日の終値で3万8000円台を回復しました。国内では岸田首相が自民党総裁選不出馬を表明、米国では大統領選でハリス氏とトランプ氏の激戦が予想されているなか、今後の株式市場はどう動くのか。エコノミストでグローバルストラテジストのエミン・ユルマズ氏に今後の見通しを聞きました。

 (河端 里咲:フリーランス記者)

 ※インタビューは8月13日

 ――8月初旬に日経平均株価は大暴落しましたが、足元の動きをどう見ていますか。

 エミン・ユルマズ氏:今回の大暴落は、日本の利上げとアメリカのマクロ指標悪化に伴う景気後退懸念がきっかけでした。それに伴いアメリカの利下げ期待が高まったことで、円売りポジションが急速に巻き戻され相場がパニックになったことが背景にあります。

 ただ8月13日時点の上昇で暴落前の水準にほぼ回復しており、一旦落ち着いてきたと見ています。

 ――日経平均株価は7月中旬に4万2000円の大台に乗る史上最高値を記録していました。再び高値に向かって上昇していくのでしょうか。

 エミン氏:そう簡単に4万2000円台に行くとは思いません。今回のような(価格変動の大きい)ボラティリティイベントが起きると、3万5000円~3万8000円あたりを推移する頭が重い展開が続くと見ています。

 そして秋に向かって相場は荒れてきて、秋以降また大きな調整があると見ています。ただ来年の2月頃には底打ちして、そこからまた上昇していく展開になるのではないかと思います。

 ――秋に向かい相場が荒れる要因は。

■ 秋に再び相場が荒れる理由とは

 エミン氏:日本の総裁選やアメリカの大統領選挙、それに加えて地政学リスクがたくさんあります。

 ウクライナはロシア国土への越境攻撃を始めたほか、イスラエルとパレスチナの動向にも全く改善がなく、緊迫した状況が続いています。今回の一時的なパニック相場は終わりましたが、秋以降また一波乱があると見ています。

 ――かねて「日経平均株価が2025年に5万円、2050年には30万円」とおっしゃっていましたが、中長期での見通しは変わりませんか。

 エミン氏:今回の大暴落を受けても、私の中長期の見通しは変わりません。遅くとも2026年前半に日経平均は「5万円」に到達すると思います。

 ――中長期で日本株が上昇すると予測する背景を教えてください。

 エミン氏:日本株が上昇する要因は、外部要因と内部要因の2つあります。

 1つ目の外部要因について。私たちは今、米中新冷戦という冷戦の時代に入っています。これは日本に追い風となる地政学の状況です。

 アメリカ経済と中国経済がデカップリング(経済分断)する中で、日本にサプライチェーンが戻ってくると見ています。特に半導体といったハイテクセクターは日本に集まってくるでしょう。それに伴い中国から逃げたグローバル資本が直接投資、株式投資の両面で日本に集まってくると思います。

 ――内部要因はなんでしょうか?