喫煙で五輪辞退に外国人から同情論... 英誌記事がバッサリ反論

AI要約

体操女子の日本代表で主将に選ばれていた宮田笙子が、パリ五輪出場を辞退した理由について、海外メディアの反応や議論が広がっている。

一部では、若手アスリートへの過度なプレッシャーが問題視されており、アスリートのメンタルヘルスについても注目されている。

一方で、日本の厳格なルールや社会の調和を守る姿勢についても理解を示しつつ、外国との文化や考え方の違いが浮き彫りにされている。

喫煙で五輪辞退に外国人から同情論... 英誌記事がバッサリ反論

体操女子の日本代表で主将に選ばれていた宮田笙子が、パリ五輪開幕直前に飲酒喫煙問題で出場を辞退したニュースを受け、海外メディアも続々と反応。同情論も広まりつつあるという指摘の一方で、「処罰は適切」という論調の記事も出ている。

米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、「体操の日本代表、飲酒喫煙でパリ五輪を出場辞退」という見出しの記事を掲載し、日本国外で巻き起こっている議論について触れた。

記事中では、「高い競技基準が若手競技者に過度な重圧を与えかねない」日本で、今回のような結果になってしまったことは「不当に厳しい」とする意見もあると説明。この「過度な重圧」の事例として、以前に「クーリエ・ジャポン」でも紹介した同紙の「なぜ日本人は銀メダルでも謝罪するのか」という内容の記事にリンクが貼られている。

さらに、アスリートと薬物やアルコールをめぐる論争は五輪が開催されるたびに浮上するが、「その多くはマリファナの使用もしくはドーピング」であるとし、2021年の東京五輪直前に薬物検査で大麻の陽性反応が出たため米国代表から外された陸上選手のシャカリ・リチャードソンの事例などを挙げた。

また、米誌「タイム」や米CBSなどは、宮田が「ものすごいプレッシャー」を抱えていたなどとする代表チームのコーチの原田睦巳のコメントを紹介し、世界最高峰のレベルで競うアスリートのメンタルヘルスについて触れた。

英誌「スペクテイター」は、「日本の喫煙した体操選手に対する処罰がその『罪』に見合う理由」と題した分析記事を掲載。筆者のフィリップ・パトリックは同誌に掲載されたプロフィールによると、都内の大学で講師をしているという。

記事では、日本では20歳未満の喫煙と飲酒は禁止されており、宮田は19歳だったと説明。しかし「ちょっとした若気の至りやストレスによる苛立ちを落ち着かせるための手段のような行動のせいで、英国の若い女性がこれほど厳しく罰せられることは想像もできない」とし、外国人の間では「やり過ぎ」や「警告で充分だったのではないか」とする反応があると紹介している。

こうした反応について筆者は理解を示しつつも、「日本人の考え方に対する無知を露呈している」と指摘。他国では些細に見えることでも、「特に評判や名誉、誠実さに関する問題」では日本では極めて深刻に受け止められると説明し、これを「日本に住むことを考えている人(特に現地の人々との恋愛を期待している人)」向けの“コツ”としている。

また、「社会の調和を守ることが何よりも重要で、個人的事情やどんなに若くてもルールを破ったと見なされた人に対する同情よりも優先される」「日本人は悪い行いは芽のうちに摘み取る必要があると考えている」などと日本社会について解説。こうしたルール破りに関する厳格な姿勢にはメリットがあるとし、日本における薬物問題の少なさを例として挙げている。