ロシア産石油への制裁、プーチン氏とモディ氏の距離縮める 今度は原子力で連携

AI要約

ロシアのプーチン大統領とインドのモディ首相がEVでドライブする光景が仲睦まじいと話題に。原子力分野での協力関係も深まりつつあり、両国の絆は続いている。

ロシア産石油とガスに対する西側諸国の制裁で、モディ氏とプーチン氏の関係は強化され、インドに新たな原子力発電所が建設される方向で協議が行われている。

ロシアが世界で圧倒的な地位を持つ原子力分野で、プーチン氏は国際舞台での立ち位置を維持。インドとの友好関係も強化され、長い期間続く見込み。

ロシア産石油への制裁、プーチン氏とモディ氏の距離縮める 今度は原子力で連携

(CNN) ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がインドのナレンドラ・モディ首相を小型電気自動車(EV)に乗せ、自らハンドルを取って大統領官邸内をドライブする。こうした光景から、両国首脳の仲睦(むつ)まじさが伝わってくる。

波紋を呼んだモディ氏のモスクワ訪問は、ロシアがウクライナの小児病院にミサイルの雨を降らせたのと同じ時期に行われた。戦争を理由に西側諸国はロシアに制裁を科し、プーチン氏の孤立化を図っているが、その効果が限定的であることをうかがわせる。

だが石油の豊富なロシアで移動手段にEVを選んだのは、もうひとつの意味合いがある。ロシア産石油とガスを対象にした欧米諸国の制裁で強化されたモディ氏とプーチン氏の連携が、今度は環境分野、そして原子力分野に発展したのだ。

ウクライナ戦争が勃発してからの2年間、世界最大の民主主義国を統治するモディ氏は、数少ない忠実な顧客としてロシア産石油とガスを自国に輸入し、プーチン氏を支えてきた。ロシア国営タス通信はモディ氏がロシア訪問中の9日、ロシアが高出力原子炉6基と次世代小型原子力発電所をインドに新規建設する方向で両国が協議を行っていると伝えた。

原子力をめぐっては賛否両論あるものの、発電時に二酸化炭素をまったく排出しないエネルギー源であり、最近はとくに多くの国々が気候変動対策のひとつとして採用している。世界で進行中の原子力発電および核燃料の供給競争で、ロシアは他国を大きく引き離している。

「商業的にみれば、ロシアは幅広い製造業には向いていない。だが天然資源を保有しており、ソ連時代から長年にわたって原子力開発を進めてきた。それらを有効活用する時が来た」。シンクタンク「大西洋評議会」参加のトランスアトランティック安全保障イニシアティブで上級研究員を務めるエリザベス・ブラウ上級研究員はCNNの取材でこう語った。「明らかにロシア政府はまんざらでもないと判断した。自国の原子力発電量の拡大に積極的な国もいくつかある。石油輸出と合わせて、インドも原子力発電に乗り気な国のひとつだ」

原子力分野でロシアが圧倒的地位を誇っているおかげで、プーチン氏はウクライナ戦争で欧米から非難を浴びつつも、国際舞台での立ち位置を維持している。明らかにモディ氏は非同盟政策というインドの伝統を貫いて、西側と良好な関係を保ちながらロシアとの貿易を続けている。

両国の友情はしばらく続きそうだ。原子炉6基の新設で原子力分野での協力関係が深まれば、両国の絆(きずな)はこの先数十年ますます強くなるばかりだ。発電所の建設には長い年月を要し、保守点検や技術更新も必要になる。ロシアが豊富に抱えるウランも継続して補充しなければならない。