インド、ロシアとウラン長期供給協定締結へ-首脳会談で

AI要約

インドとロシアは、タミルナド州で稼働予定の原子力発電所向けに長期にわたるウラン供給協定を締結する見通し。

モディ首相がロシアを訪問し、両国関係の再活性化や軍事協定などの協議を行う。

インドのウラン不足による輸入依存度の増加や原子力発電所の建設状況が報告されている。

(ブルームバーグ): ロシアとインドは、インド南部のタミルナド州で稼働予定の原子力発電所向けに、長期にわたるウラン供給協定を締結する見通しだ。事情に詳しい政府高官が明かした。

インドのモディ首相は8ー9日の2日間の日程で、5年ぶりにロシアを訪問している。モディ氏はプーチン大統領との会談で、両国関係の再活性化に向けた協議を行い、戦略的合意を結ぶとみられる。匿名を条件に語った関係者によると、両国は、軍事訓練、寄港、人道支援、災害救援活動のために、両国軍が互いの施設を利用し合うことを認める協定にも署名する予定だ。

インド外務省は、ウラン長期供給協定の詳細を求めるメールでの問い合わせに、すぐには回答していない。露国営原子力企業ロスアトムとペスコフ大統領府報道官も、コメントの要請に即座に返答していない。

低炭素エネルギー源としての原子力発電への支持の高まりを受け、2020年末以降、ウラン価格は3倍以上に上昇している。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、電力会社が在庫を補充するため、29年まで需給は逼迫(ひっぱく)した状態が続く可能性がある。民生用原子力分野における協力は、ウクライナ侵攻を巡る米国の対ロシア制裁の対象に含まれない。

インドのクワトラ外務次官は5日、タミルナド州のクダンクラム原子力発電所について、「1号機と2号機はすでに稼働しており、3号機と6号機の工事も進んでいる」と述べた。ロシア政府が「インドのエネルギー安全保障と防衛にとって重要なパートナーであり続ける」とも強調した。ロスアトムは、22年と23年、クダンクラム原発に核燃料を供給していた。

インドのウラン生産の大半は、東部ジャルカンド州にあるインド・ウラン公社(UCIL)の鉱山で産出されているが、埋蔵量は急速に枯渇しつつある。南部アンドラプラデシュ州や北部メガラヤ州など、他の州にある鉱床の開発は期待通りの成果を上げられず、インドは輸入依存度を高めている。