AI、雇用影響で行動計画 広島プロセス拡大歓迎 G7首脳声明

AI要約

先進7カ国首脳会議(G7サミット)は人工知能(AI)の雇用への影響に対応する行動計画を策定

広島AIプロセスへの賛同拡大を重要視

労働市場政策の強化や倫理面の懸念にも言及

 【ファサーノ時事】先進7カ国首脳会議(G7サミット)は14日採択した首脳声明で、人工知能(AI)が雇用に与える正と負の影響両面に対応するための「行動計画」の策定を打ち出した。

 声明は、日本が主導してきた生成AI(人工知能)の国際的なルール作りの枠組み「広島AIプロセス」への賛同国の拡大を歓迎。「広島プロセスの成果を前進させる」ことが重要だと強調した。

 広島プロセスは、日本が議長を務めた昨年のサミットで創設。賛同は50カ国・地域を超えており、岸田文雄首相は14日の討議で「今後も協力を進めていきたい」と強調した。

 今年の議長国イタリアは、AIが労働にもたらす潜在的な可能性と人間の仕事を奪うといったリスクへの対応を重視して議論を進めてきた。声明は「AIは生産性の向上や良質で人間らしい仕事を可能にする」とし、負の影響への対処も含めて労働市場政策を強化していく方針を示した。

 「人間中心で、安全安心で信頼できるAIを設計、利用するために必要なスキルと能力を労働者、雇用者に身につけさせる」とも強調。今後、G7労働雇用相会合を中心に、労働者がAIを利用する能力の引き上げなどに向けた行動計画の具体化へ議論を進める考えだ。

 14日の討議にはフランシスコ・ローマ教皇も出席し、AI利用における倫理面の懸念などについて演説した。

 声明ではこのほか、中国が巨額の補助金で電気自動車(EV)の生産を続けていることについて、「有害な過剰生産につながる執拗(しつよう)な特定産業の重点化や非市場的政策・慣行」と批判。重要鉱物の輸出規制について「国際的な供給網に重大な混乱をもたらし得る」と自制を要求した。