G7首脳声明採択、AI偽情報は「民主主義への脅威」…「選挙イヤー」に情報操作へ対抗する枠組み構築

AI要約

G7サミットでは人工知能(AI)の普及に伴う雇用への悪影響や中国・ロシアへの懸念が取り上げられ、首脳声明が採択された。

AI利用の行動計画やAI規制の推進、労働市場の課題への取り組み、情報操作の防止策などが含まれている。

また、国際情勢においては中国やロシアへの懸念が示され、電気自動車(EV)などの過剰生産にも警告が発せられた。

 【バーリ(イタリア南部)=中西梓、倉茂由美子】イタリア南部プーリア州で開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)は14日、全ての討議を終え、首脳声明を採択した。人工知能(AI)の普及に伴う雇用への悪影響を懸念し、雇用に関するAI利用の行動計画を策定すると明記した。中国に対しては、ロシアへの支援に強い懸念を示し、東・南シナ海での強引な海洋進出に反対を表明した。サミットは15日に閉幕する。

 AIは今回サミットの主要議題とされ、昨年の広島サミットで策定したAI規制の包括枠組み「広島AIプロセス」を引き続き推進することで合意した。首脳声明では信頼できるAIの開発を進めるため、連携して国際基準を定め、開発企業を監視する枠組み作りを進めていくと盛り込んだ。

 雇用に関しては、AIにはリスクだけでなく生産性の向上といった利点もあると指摘し、G7各国の閣僚に対しAIの普及に伴う労働市場の課題に対処した行動計画を策定するよう求めた。AIの軍事利用を巡っては、AI兵器には人道面の問題がある点を念頭に、軍事利用に関する枠組みを設ける必要性で一致した。

 今年は米大統領選など大型選挙が相次ぐ世界的な「選挙イヤー」で、AIやディープフェイクを悪用した偽情報の拡散が懸念されている。首脳声明では、外国政府による情報操作や選挙干渉を「民主主義に対する脅威」と位置付け、懸念を共有した。情報操作などに対抗するための共同の枠組みを年末までに構築すると盛り込んだ。

 首脳声明は国際情勢についても厳しい状況認識を示した。中国に対しては、ウクライナを侵略するロシアへの支援について「深刻な懸念」を示した。ロシアによる「違法な戦争の継続を可能にしている」と指摘し、軍事転用可能な資材の移転停止を求めた。東・南シナ海での強引な海洋進出を巡っても「一方的な現状変更の試みだ」として強く反対を表明した。電気自動車(EV)などの過剰生産に懸念を表明した。