NASA、約700億円超を投じた月探査車VIPERの中止を発表

AI要約

月探査車「VIPER」の開発と打ち上げが後ろ倒しになり、NASAはプロジェクトを中止することを決定しました。

VIPERは月の南極域で水の氷を分析するために設計されたNASAのローバーで、4億5000万ドルかかっていた。

NASAは他の月面ミッションに支障が出る可能性があるため、VIPERプロジェクトを中止したが、月面探査には引き続き尽力する予定。

NASA、約700億円超を投じた月探査車VIPERの中止を発表

打ち上げ時期が何度も後ろ倒しになっていた、月探査車「VIPER」。開発の遅れと膨らんでいくコストにより、NASAは月で水氷を探す同プロジェクトの中止を発表しました。

VIPER(Volatiles Investigating Polar Exploration Rover、揮発性物質調査極探査車)は、月の南極域で氷状の水を探して分析するよう設計されたNASAの四輪ローバーです。NASAは約450kgのローバーの開発に、4億5000万ドル(約708億円)ほど費やしていました。

当初は2023年後半に打ち上げられるはずでしたが、まずは2024年にずれ込み、その後は追加スケジュールとサプライチェーンの遅延のせいで2025年へと後ろ倒しになっていました。

そして今回、NASAは他の商業月面輸送サービス(CLPS)ミッションに支障をきたす恐れからVIPERプロジェクトの打ち切りを決めたと水曜に発表。なお記者会見では、この判断により少なくとも8400万ドル(約132億円)ほどのコストを削減できると語られていました。

VIPERはAstrobotic(アストロボティック)社の月着陸機「グリフィン」と共に打ち上げられるはずでした。そしてグリフィンは3億2200万ドル相当のCLPSタスクオーダーの下、探査車を月に届けることになっていました。グリフィンのミッション自体も2025年9月へと延期されています。とはいえNASAは、他の民間パートナーの協力を得て引き続き月面探査に尽力していくようです。

NASA科学ミッション局Nicola Fox副局長は、リリースに以下のコメントを寄せています。

NASAには今後5年間で、月上の氷と他の資源の探索をする計画のミッションがいくつもあります。私たちのこれからの方針は、幅広い月のプロジェクト群を支える重要な資金を温存しながら、VIPERに注ぎ込んだ技術と労力を最大限に活用することです。