宇宙ゴミを出さない人工衛星を作る時が来た ESAが民間3社と衛星バス開発で契約締結

AI要約

宇宙ゴミの増加によるリスクと、その対策としての宇宙ゴミ除去技術に関する取り組みについて述べられています。

ESAと欧州の宇宙開発企業がゼロデブリ憲章に基づいて地球低軌道用衛星バスの開発契約を締結したこと、そして2030年までに宇宙ゴミを大幅に削減し、デブリニュートラルを目指す計画について言及されています。

宇宙ゴミの数や軌道上破砕イベントのデータ、宇宙ゴミが衝突リスクを高める原因についても詳しく述べられています。

宇宙ゴミを出さない人工衛星を作る時が来た ESAが民間3社と衛星バス開発で契約締結

運用を終えた人工衛星や打ち上げに使われたロケットの一部といった「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」の数は年々増加傾向にあり、地球周回軌道上の人工衛星や宇宙ステーションと衝突するリスクが高まると予想されます。

その対策として注目を浴びているのが、宇宙ゴミを除去する技術です。ミッションが終了した人工衛星や宇宙ステーションを適切に廃棄することは、宇宙ゴミの増加を食い止める手段となり得るでしょう。

欧州宇宙機関(ESA)は2024年6月25日に、エアバス・ディフェンス・アンド・スペース、OHB、タレス・アレーニア・スペースといった欧州を拠点とする宇宙開発企業3社との間で、ゼロデブリ憲章(Zero Debris Charter)に準拠する地球低軌道(LEO)用衛星バス(satellite bus)の開発に関する契約を締結しました。

ESAによると、2024年6月18日現在の宇宙ゴミの数は、大きさが10cmを上回るものは約4万500個、1cm~10cmは約110万個、1mm~1cmは約1億3000万個に及ぶと推定されています。

また、記録が開始された1961年以降、560件以上の軌道上破砕イベントが発生した模様です。そのうち衝突に関連するイベントは7件のみで、大半は宇宙機および打ち上げロケット上段の爆発に起因しています。不要になった人工衛星やロケット上段のタンクや燃料パイプに残る残留燃料などが経年劣化によって漏れ出たり混合を引き起こしたりすることで自己着火し、爆発に至るのだといいます。

ESAはこうした宇宙ゴミが人工衛星や宇宙ステーションなどと衝突するリスクを鑑み、宇宙ゴミ問題解決の指針となる「ゼロデブリ憲章(Zero Debris Charter)」を2023年6月22日付で発表しました。ゼロデブリ憲章によると、2030年までに宇宙ゴミを大幅に削減し、ミッションが終了あるいは失敗した場合には残存した人工衛星の機体をすみやかに軌道から取り除き、新たな宇宙ゴミの産生を食い止める「デブリニュートラル(debris-neutral)」を目指すとしています。ESAはその一環として、宇宙ゴミを発生させない人工衛星の開発を目指そうとしている模様です。