出産で脳性まひ、個別審査で補償なしの子に特別給付 来年1月開始

AI要約

脳性まひに伴う補償金制度に関する特別給付事業の内容が明らかになった。

補償制度では胎内の週数や体重などの条件を満たさない子どもに非課税で1200万円が支払われる。

約600人が対象で、特別給付事業には限定条件が設けられている。申請は5年間受け付ける。

出産で脳性まひ、個別審査で補償なしの子に特別給付 来年1月開始

 出産に伴って脳性まひが残った子どもに3千万円の補償金が支払われる「産科医療補償制度」をめぐり、個別審査によって補償対象から外れた子どもらに対し、一定条件を満たせば非課税で1200万円を支払う特別給付事業の内容が固まった。制度を運営する日本医療機能評価機構の検討委員会が、16日にも事業内容を取りまとめる。来年1月から申請を受け付ける。

 補償制度は2009年に始まった。出産とは関係のない要因で脳性まひになったり、母親の胎内にいた週数が28週に満たなかったりする場合は制度の対象外になる。

 21年までは、胎内の週数が28週以上でも、一定の基準よりも週数が短かったり、生まれたときの体重が軽かったりすれば、個別審査の対象になった。分娩(ぶんべん)中に胎児が低酸素状態だったことが認められる必要があり、半数程度の子どもが補償の対象外になった。

 同じような病態でも補償を受けられない不公平感が生じているとの指摘があり、22年、医学の進歩も踏まえて個別審査は廃止された。変更を受け、自民党が23年、個別審査で補償の対象外になった子どもに1200万円を支払う特別給付事業を設けるよう厚生労働省に要請していた。

 補償制度を運営する機構の検討委では、(1)身体障害1級または2級相当、(2)先天性や分娩後の感染症などが原因ではない、(3)生後6カ月未満で亡くなっていない――という条件を満たせば、個別審査で補償の対象外になった子どもに1200万円を支払う方向で議論がまとまる見通しだ。

 個別審査で補償の対象外になった子どもは約600人いるが、そもそも補償制度に申請しなかった子どもも特別給付事業の対象になる。低酸素状態を示すデータがなく、申請をあきらめていた人も多くいるとされ、対象は約1600人程度と推計されている。25年1月から29年末までの5年間、申請を受け付ける。

 個別審査の対象になったのは、いずれも胎内の週数が28週以上で、09~14年生まれでは、週数が33週未満、または出生時の体重が2千グラム未満。15~21年生まれでは、週数が32週未満、または出生時の体重が1400グラム未満。

 個別審査で補償の対象外とされた子どもについては、当時の資料が残っているため、機構に直接申請できる。補償制度を申し込んでいなかった場合は、当時の分娩機関で申請する。