市立病院が残業代10億円未払い 労基署が勧告も2億円しか支払わず

AI要約

大崎市民病院が1100人の医師や看護師に時間外勤務手当を適正に支給していなかったことが発覚し、約10.5億円の未払いがあることがわかった。

古川労働基準監督署から労働基準法に基づく是正勧告を受け、病院は約2.3億円の支給を行ったが、8億円超の支払いは計画していない。

病院は赤字が続く状況であり、勧告通りの対応は困難とし、全額支払うことができないと説明している。

市立病院が残業代10億円未払い 労基署が勧告も2億円しか支払わず

 医師や看護師ら約1100人に時間外勤務手当を適正に支給していなかったとして、宮城県大崎市の大崎市民病院が古川労働基準監督署から是正勧告を受けたことがわかった。未払いは、約10.5億円。病院は約2.3億円は支給したが、経営の状況から8億円超は支払わない考えだ。

 労働基準法に基づく是正勧告を受けたのは昨年2月。時間外勤務手当を算出する際には、基礎賃金に、必要な手当を足して計算するが、病院は以前から、国家公務員の給与制度に準じて、一部の手当を足さずに計算していたため、未払いが生じた。古川労基署は是正勧告を出し、2020年3月にさかのぼって不足額を追加で支給することを求めた。また、時間外労働時間の過少申告も発覚した。

 赤字が続く見込みであることから、病院は勧告通りの対応は困難だと判断。勧告に従うのは一部期間に限り、実際に支給されたのは、約10.5億円のうち約2.3億円にとどまった。病院は「労基署に相談しながらできる範囲で対応した。10億円は額が大きすぎる。全て支払うことはできない」と説明した。(中島嘉克)