夫婦共働きだったので、年金を「月32万円」受け取っています。もし夫が先に亡くなっても、妻の私は遺族年金とあわせて「20万円」くらいは受給できますよね?

AI要約

遺族年金の仕組みや夫婦共働きの場合の受給額について解説。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給条件と計算方法について詳細に説明。

共働きの場合、夫が亡くなった際の受給額の算出方法や受給条件を明確に示す。

夫婦共働きだったので、年金を「月32万円」受け取っています。もし夫が先に亡くなっても、妻の私は遺族年金とあわせて「20万円」くらいは受給できますよね?

一家の大黒柱が亡くなったときに頼りになる「遺族年金」。仮に夫が亡くなったときに、妻は必ず受給できると考えている人は多いかもしれません。しかし、夫婦共働き世帯の場合は事情が異なります。場合によっては、想定していた金額を受け取れない場合もあります。

本記事では、遺族年金の仕組みについて解説し、夫婦共働きの場合の遺族年金の受給額について解説します。

遺族年金とは、配偶者など生計を維持していた人が亡くなった場合に遺族が受給できる年金です。遺族年金は、次の2つからなります。

・遺族基礎年金

・遺族厚生年金

それぞれ受給の条件が異なります。ここでは分かりやすさを重視して、夫婦のうち夫が亡くなった場合について解説します。

■遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者である人が老齢年金を受給する前に亡くなった場合に、残された配偶者や子どもが受給できるものです。そのため、今回のように、すでに夫婦とも老齢年金を受給している世帯では受給対象外となります。なお、受給条件として次の両方を満たす必要があります。

・亡くなった人に生計を維持されていた

・18歳になった年度の3月31日までにあたる子どもがいる(一般的に高校3年生の年度末)、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある

基本的に、今回は2つの条件を満たす妻が受給者となりますが、万一妻がすでに亡くなっている場合は子ども自身が受給します。なお、「生計を維持されていた」とは、亡くなった人が生活費などを負担しており、亡くなる前の年の妻の年収が850万円未満か所得が655万5000円未満である状態をさします。

そもそも共働きで、夫が亡くなった前年の収入が850万円を超えるなどの場合は、生計を維持されていたと見なされず、遺族基礎年金の受給権がありません。

受給額は子の人数によって変わり、次の計算式を使用します。

・81万6000円+子の加算額

・子の加算額:1人目・2人目は各23万4800円

       3人目以降は各7万8300円

例えば、3人の子どもがいる世帯で夫が亡くなった場合は、妻は年間で136万3900円を受給できます。妻も亡くなっており、子ども自身が受給する場合の計算式は次のとおりです。

・81万6000円+2人目以降の子の加算額

・子の加算額:1人目・2人目は各23万4800円

       3人目以降は各7万8300円

この合計金額を、子どもの数で割った金額を子どもがそれぞれ受給することになります。

■遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者で、亡くなった人に生計を維持されていた遺族が受給できます。遺族基礎年金とは異なり、受給要件に子どもの数や子どもの年齢は関係ありません。

ただし、遺族基礎年金と同様に、妻の年収が850万円か所得655万5000円を超えていたときは夫から生計を維持されていたと見なされず、遺族厚生年金が受給できません。

遺族厚生年金の受給額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

例えば、老齢年金額が老齢基礎年金約7万円、老齢厚生年金10万円(特別支給の老齢厚生年金などは考慮せず、全額を報酬比例部分とする)で合計17万円受給していた夫が亡くなった場合、老齢厚生年金10万円の4分の3にあたる7万5000円が遺族厚生年金の受給額です。